SF映画史における名作中の名作である。あのスターウォーズEP4よりも9年前に上映されたとは思えない程SFXの完成度が素晴らしい。また船外のカットでは意図的にSE等が切られており無重力空間における無音の表現、またスピード感も徹底的に排除されており我々が暮らしている重力下の世界とは異質な空間である事も感じ取れる。
恥ずかしながら平成の世に生まれ、物心付いていた頃には既に娯楽界に宇宙を題材にしたSF作品が山のようにあって、尚且つSFX技術も当時存在していなかったCG技術もふんだんに取り入れられた最新の映画を数多く目にしている私ですらこの作品の圧倒的ビジュアルには感嘆させられるのだから、上映当時映画館でこの作品を観た人達はその何百倍も感動した事だろう。
ただこの作品は娯楽映画ではない。同名の小説を原作としており、尚且つ原作を読んでいない者が観た所で物語を読み取る事を素直に放棄するか、自尊心を守る為に解った気になるかのどちかである。私は前者を選んだ。
HAL9000の下りは非常に簡潔であるがそれ以外に関しては解説を読んでようやくなるほどといった感じである。
この作品を最大限楽しみたいのであれば先に原作小説の方を読破する事をお勧めする。
