いしすー

2001年宇宙の旅 新世紀特別版のいしすーのレビュー・感想・評価

4.9
この作品のテーマはやはり超越だと思う。2001年という進歩した近未来の時代設定、それにも関わらず暴走する人工知能、モノリスを生み出す他星人の圧倒的な科学技術力、限りなく広がる宇宙、そしてついには人類の進化までもが描かれる。ただでさえこれらは想像のつかないテーマになりがちだが、普段からお世辞にも饒舌とは言えないキューブリックの手にかかり、より一層抽象的ものになっていくので、さらにわけがわからなくなる。というか理解されてたまるか、という挑発にさえ感じる。言葉で表現することを絶対に許さないというか。言葉で言い表わせてしまうものは所詮人間の理性の範疇であって、圧倒的な存在とは言えないのだ。このことを3度目の鑑賞、それもIMAXの力を借りてようやくわかってきた気がする。この作品はIMAXの相性が特に抜群だ。大画面から繰り出される威圧感に理性の限界を思い知るべきだ。とはいえ、これだけ書くと、ただただ感じて楽しむべき作品のようだけども、それは違うと思う。SF、ドラマ、サイコスリラー等のさまざまな要素がしっかりつまっている。例えば、人工知能ハルのカメラがズームされるところは、レンズが拡大されていくだけなのに、狂気を感じさせる素晴らしいシーンだ。わけがわからないなりに面白い理由は、こういうしっかり楽しませてくれるところにもある。いやー隙がない。
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