Omizu

科学者の道のOmizuのレビュー・感想・評価

科学者の道(1936年製作の映画)
3.7
【第9回アカデミー賞 主演男優賞、脚色賞受賞】
『ゾラの生涯』などのウィリアム・ディターレ監督の伝記映画。フランスの科学者ルイ・パスツールの半生を描き、アカデミー賞では主演男優賞(ポール・ムニ)と脚色賞を受賞した。

炭疽病や狂犬病のワクチンを発明し、今では当たり前になった医療現場の消毒、病原菌の発見など現代医学の祖とも言える偉大な科学者パスツールをポール・ムニが演じた。

説明的なセリフが気にならなくもないが、概ねいい塩梅の伝記映画。普通によくできているし普通に感動する。

当時の医療現場にまず驚くよね。医師や看護師は手を洗わない、道具も消毒しないという「そりゃ伝染病流行るわ」という状況。

そこに病気の原因は細菌であるという持論を掲げて真っ向勝負を仕掛けたパスツールを旧態依然とした医学界は排除しようとする。細菌の存在は分かっているが、それによって人が死ぬとは思っていなかったのだから仕方ない。

いかにパスツールが認められていくかという苦難の道のりを上手く描いている。娘婿となる若い医者やライバルの医者、献身的な妻といったキャラクターもほどよくドラマチック。

非常に上品、上質な伝記映画。単純によくできているし、ポール・ムニの演技もよかった。
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