Omizu

ラスト、コーションのOmizuのレビュー・感想・評価

ラスト、コーション(2007年製作の映画)
3.4
【第64回ヴェネツィア映画祭 金獅子賞】
『ブロークバック・マウンテン』アン・リーが二度目の金獅子賞を受賞した作品。主演は名優トニー・レオンと『別れる決心』タン・ウェイ。金馬奨でも作品賞を受賞した。日本支配下にある香港と上海を舞台に、抗日スパイの女と暗殺対象の男を激しい性描写で描いている。

アン・リー作品はどれもよくてかなり期待していた。のだが、期待が大きすぎたかな。そこまで入り込めなかった。レベルは高いし演技は素晴らしいんだけど…

技術面では文句は一つもない。撮影、美術、衣装とどれをとっても一級品。当時の西洋と中国、日本の様式が混じり合った建物や衣装は素晴らしい。みているだけでリッチな気分になる。

トニー・レオンとタン・ウェイの演技はもちろん、その佇まいからして色気が匂い立つよう。トニー・レオンは最初からなのだが、タン・ウェイは夫人になりきるうちに本物になっていく。その見せ方がいい。

後半その関係性が変わっていき、指輪のシーンでは完全に逆転してしまう。「ああ、この人は本当に…」という表情が悲痛すぎた。それをセックスシーンでも表現しているのが見事。鏡や窓、ガラスを使った演出もいい。

ただ2時間半超えはさすがに長かった。特に前半が長すぎる。みたいのは後半なんだからさっさと切り上げてほしかった。

端正でよく考えられたレベルの高い作品ではあるが、途中で飽きてしまう。文句は特にないのだが、イマイチ乗り切れず。
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