ラスト、コーションの作品情報・感想・評価

「ラスト、コーション」に投稿された感想・評価

「恋愛とは人の心を操ること」という信念をもとに、
男と女の心理戦、パワーゲームが緻密に描かれている。

権力で相手を屈させる男と、優しさで抵抗する女と。
恋愛の駆け引きをセリフなしで表現する
2人の演技力が素晴らしい。

恋愛映画の多くは、そのほとんどがラブロマンス。
ロマンスとは、ファンタジーであり幻想であり、現実ではない。
恋愛のいい面ばかりが誇張されて
描かれている作品が多数を占める中で、
この映画は「恋愛とは一体何なのか」を
突き詰めて描いている希有な作品。
凄い映画ですよ。そうしか言いようがないですね。
トニー・レオンとタン・ウェイの絡みのことが話題として先行してたのですが、中国人の古来から続く人民の政治に対する考え方が見事に描写されてると思います。
トニー・レオンは日本の傀儡政府の要人、それに対するパルチザン的勢力の女スパイをタン・ウェイが演じてます。
この設定で思い出すのが、三国志の呂布と貂嬋の二人です。政治的な戦略を大義として、大義のために個人の命を捧げることこそ人の道とする考え方…。それを前提とした奸計が本作では表現されてます。
中国の儒教と当時あった政治に対する人民の考え方が、今でも引き摺ってるように見えてなりません。
非常に視点の鋭い作品で、アン・リー監督の凄さに感服すること然りです☆
Stream

Streamの感想・評価

4.5
こんなにもリアルに性的な場面をみせる映画は初めて。
ストーリーは第二次世界大戦中の中国が舞台になり、香港や上海に住む人々の背景が描かれている。
しかし、トニー・レオンとタン・ウェンのお互いを見つめる表情や、ベッドシーンが印象的で、そこに注目しすぎた。
2人とも、ただただすごい。
この2人にしかできない役柄が演じられていたと感じた。
日本占領下で抗日活動に燃える先輩に憧れて活動に参加することになったタン・ウエイ演じる若き女性ワンが演技の実力から特務機関のリーダーであるトニー・レオン演じるイーを殺害するために身体を張ったスパイ活動を任命される。
皆学生で、セックス経験もほとんどないものばかりで、大人の男を色仕掛けで罠にはめようと言う無謀な作戦。しかも与えられた役所は結婚している女性なので、イーを落とすためには自分が処女であるわけにもいかず、仲間の経験者と前戯も無しのいきなりの処女喪失。。。痛くないのん?

憧れの先輩も未経験とは言え、そこは気張って手を上げてやって欲しかった。。。
非道すぎるやろ?!

と、若者たちが国の為に身体を張るというのは滑稽でありながらも物悲しさもあり、若者たちの直向きさが哀れでならない。

片や狙われる側のイーは大人で用心深くいながらもあどけなさすら感じるワンを周到に観察しながら彼女の演技に騙されて行くのだけれど、その過程が少々腑に落ちにくい。この2人のこともそうなのだが、ワンが憧れる先輩もワンのことを想っていながら、ワンが本当に彼のことを慕っているのかどれほど慕っているのかが分からない。

その為か、切ない気分になり切らないままワンとイーが激しい肉欲(ラスト)からやがて情が生まれることもはっきりとはせず、焦点が定まらない気がしてモヤモヤする。

それでも、憎い男に心は抵抗しながらも身体は支配されて行き、自分の彼への憎しみが次第に曖昧になっていくことへのワンの葛藤部分は良く描かれていて、冷酷に見えるイーの優しさを垣間見た時のワンの心がの動揺する場面はぐっと心に響いた。

湯気が立つほどの濡れ場は確かにかなりの熱の入れようで、映画のタイトルが示す通り重要なシーンであると分かる。

ラスト(肉欲)、コーション(戒め)。

アン・リー監督は大好きな監督で、彼の描き方とか、上手いな〜と思うことも沢山あり、最後も切なくなるけれど、やはり先輩とワンの心の結びつきの描き方が弱かったように思えて惜しい作品だと感じてしまった。もちろん、もどかしい2人と相反して憎いはずの相手に情が湧いてしまうというのとそのものが今回のテーマなのかもしれないけれど… なんとも。。。

オッサンの香りがするトニー・レオンとピチピチな青い匂いのするタン・ウエイのコントラストがなんともやらしくてアン・リーもやらしいなと思った(///▽///)
yuji

yujiの感想・評価

3.7
上海でのカフェのシーンから始まり(しかも暗号めいたことを話しスパイ感あり)、回顧的に4年前の香港での学生時代へ戻り、3年後の上海へ、そして最後に上海でのカフェのシーンに再び戻り繋がってくる展開、緊張感があって悪くない。
まさかとは思ったけど、、、宝石店でのラストコーション、そういうことか、納得。

アンリー監督、トニーレオン、タンリー主演。日本統治下の1940年前後の上海が舞台。香港での学生時代から抗日活動をしていたワンは、イーを殺すために女スパイになり、イーの愛人となる。
最初は無表情でレイプまがいのセックスから最後は声がもれるセックスへ、ワンがイーを深く愛していく変化、さすがトニーレオン。エロくはなかったけど、心地よい濡れ場だった。
愛人になるためバージンのワンが友人とセックスの練習をしたり、3年後にはあまりに簡単に学生から女スパイに転身したりとツッコミどころは多い。疑い深いイー、女スパイのワンの苦悩は伝わってきた。麻雀シーンをはじめ、全体的に細かいカット割りからにじむ緊張感、2時間半を感じさせなかった。
papikO

papikOの感想・評価

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このレビューはネタバレを含みます

赤い口紅を拭き取らず、
カップにつけたままでいるのは、
もしかしたら本当には、貴族の振る舞いではないのかもしれない。

リーは、はじめから、チアチーが工作員であることを疑っていたのでは?
その上で、ゲームをする感覚が、いつのまにか本気らしくなってしまったのでは?

まさか本当に殺される瞬間がダイアモンド店で訪れるとは思わなかっただけであったのでは。

本当の愛とはなんだろうかと思った。
Animo

Animoの感想・評価

3.3
嘘から出た誠は、本気になったほうが負け。
エロティシズムと、絡み合う役者の視線の演技が素晴らしい。
中国版『ラストタンゴインパリ』、あるいは中国版『愛のコリーダ』とでも言うべき作品。性愛によるユートピアを意図せず築きあげてしまう男女。トニー・レオンが演じる日本傀儡政府の冷徹な特務機関の男がタン・ウェイ演じる女スパイの歌に涙する涙するシーンは男が「陥落」するシーンであるのと同時に女スパイにとっても「陥落」であったのだ。
一度見た後にすぐにもう一度見ました。長さを全く感じさせません。切なくて、深い痛みを感じた作品。重い余韻が心に残りました。

私は最初トニーレオン演じるイーはヒロインチアチーを自分を暗殺すべく近づいた抗日スパイだと分かった上で彼女の誘いに乗り、遊んでいるのかと少し疑っていたのですが、再び見た後に、彼は本当に彼女を愛し、信じていたのだと確信しました。そうでなければ最後あんな表情は絶対に出来ない。

(↓ラストネタバレしてます)















イーは最後彼女がスパイだと知ると彼女の仲間諸共22時までに処分するよう部下に言いつけました。自分の命を狙った者は処分する。彼は愛したチアチーも特別扱いをせず、これまで通り当然の結果を出します。でも彼女が去ったベットのシーツをそっとなでていたり、「彼女はどうしたの?」と妻に聞かれた時のはっとしたような表情。そして22時を告げる鐘の音が鳴った瞬間ぎゅっと目を瞑った所、、、。全てに彼女への愛が本物だったと示していて胸が締め付けられる。

スパイなんかやらずに仲間とこれまで通り仲良く劇団をやって、思いを寄せていた先輩のクァンと結ばれればこんな結末にはならなかったんだろうけど、、。でもスパイをやらなければイーとも会えなかったしなあ。うーん、、。

1番好きなシーンはイーがチアチーに指輪を贈り、「私が一緒にいる」と言った彼に対して必死にチアチーが視線で訴えかけ、うん?と首を傾げたイーに対して「逃げて」と絞り出したところ。愛してしまった彼に対する最後の言葉が最高に切ない。(うん?が可愛い!)

そしてトニーレオンはやばい。もう死ぬかと思いました。私の殿堂入り俳優。居るだけで漂う溢れんばかりの色気とオーラ。温厚な優男のイメージでしたが、今回のサディスティックな姿も素敵すぎる。好きしかない!

☆20
otom

otomの感想・評価

4.6

このレビューはネタバレを含みます

ブロークバック•マウンテンに続く禁断の愛的なお話が日本軍占領下の上海で繰り広げられる。ドS且つアクロバティックな体位と熱い演技を披露したトニー•レオン。微妙な表情で苦痛を表現するタン•ウェイと両者共に良かった。激しいせめぎ合いを象徴するベッドが空になるラストは抗日の国民党と親日家の駆け引きも虚しく後の中共によって全てが無に帰ったみたいな感じで実に哀愁漂う。魅力的な頃の中国が絶妙な構成と共に描かれている。傑作。
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