『ラスト、コーション』（原題：色・戒/Lust,Caution）
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“禁断の愛”
初恋か、真実の愛か。
愛すべき人を愛したはずなのに、愛してはならない人を愛してしまった。
この意味を。観た人だけは理解できる。
彼女の汚れなき心を最後まで喪失することは誰にもできなかった。
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動乱の中国を舞台に、
立場に翻弄された女性工作員の愛情の行方を描いた物語。
日中戦争さなか、香港から上海へ逃れる彼女はある男に恋をした。
彼に誘われるがまま、彼女は抗日運動に傾倒していく。
いつしかただの学生運動から過激になっていく彼らの言動は彼女を波乱の人生に導いてゆく。
役務のために処女を喪失し、身も心も捨てた彼女を満たしてくれた存在は、皮肉にも殺すべき相手だった。
彼もまた祖国に忠誠を誓い全てを捧げた、孤独な者。
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誰にも理解しえない“自己犠牲”に対する畏敬の念。
そして、彼女は再び望んで工作員となった。
それは思想ゆえではなく、彼にもう一度会いたかったから。
それが彼女の全てだった。
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彼女のイノセンスは完全に喪失したのだろうか。
彼女は最後の最後に自分の残された唯一の尊厳を守ったのだと思う。
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皆さまはどう思われますか？
『ブロークバック・マウンテン』『ライフ・オブ・パイ』の監督であるアン・リーが描く愛と立場の狭間で揺れ動く1人の女性の姿を描いた見事な作品を是非ご堪能ください。
それにしても相変わらず、邦題が残念だ。
