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時の貞操 前篇のseapony3000のレビュー・感想・評価

時の貞操 前篇(1948年製作の映画)
4.0
DVDは総集編なのか、後半があまりにもあっさり終わって物足りない。いつかフルの前編後編をフィルセンあたりでみたい。製糸工場の女工でトップの成績を取る原節子が、2代目の工場長・若原雅夫に連れられ東京にきて甘いカクテル飲まされてワンナイト。当然のように妊娠、恋人未満の伊澤一郎からの腹の中の子ども含めてのプロポーズを拒否、母の杉村先生のススメで流産に効く温泉に通ううちに野良作業中ぶっ倒れて流産。工場戻ったら鬼のセクハラ上司・菅井一郎に迫られ相手の唇噛みちぎりボロボロのまま上京、若原雅夫は特高に追われ、なぜかとばっちりの原節子は特高のシムタカに組み伏せられて頬を鉛筆(ペニス)でグサグサと刺され。面倒みてくれるインテリ先生の「妻も子供もいるが孤独な私を癒して欲しい」の何言ってんだの口説きに折れて流されるまま住まいは確保したものの、バーのツケ踏み倒す先生の借金のカタに着物を差し出す原節子…。工場の同僚・町田康子に、バーのマダム・平井岐代子に女同士の心の交流はささやかだけど沁みる。男たちの都合でモノのように扱われる女たち。女工も同じ人間だ、と原節子に生きる希望を持たせる若原雅夫と原節子が愛し合っている説得力がないのが端折りすぎた総集編の弱さか。睡眠薬持ってるけど死ぬに死ねない伊澤一郎のストーキングぶりも異様でよかったけど。東京の夜からずっと死んだ目の原節子は素晴らしかった。鏡使いも含めて「残酷 黒薔薇私刑」を思い出してしまった。
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