中庭

サン・ソレイユの中庭のレビュー・感想・評価

サン・ソレイユ(1982年製作の映画)
4.8
国境を越え、縦横無尽に映し出される二つの民族のいる風景が、それぞれに等価なものとして漂白され、並べられていく。
しかし幸福の映像として提示される三人の子供の映像は、作為的に破壊と炎上のイメージと重ねられ、映画の終わりに円環することもなく過ぎ去った。
ノロの儀式の記録と、彼女たちの穏やかな微笑みを垣間見ることができるだけでも、かなり貴重な作品といえる。

(2回目の鑑賞:早稲田松竹にて)
「幸福の映像」が二度目に出た後は噴火口の映像と、積もる灰に埋もれる町並みが繋がれ、「65年に撮ったときはこうだった」とナレーションが加わる。
猫やふくろうの姿が何度かデジタル処理され、黒い肌の少年の死体に蛆が湧いてるところも映り込む。首元を撃ち抜かれたキリンが血を噴きながら崩れ落ちるまでのワン・カットが本当に残酷で、ハゲタカに目玉を喰われていた別の動物とクロスされた気もするが、細かく思い出せない。
『3つのビデオ俳句』はやっぱりマルケルのイマジネーションの重要な結節点だったはず。
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