コータ

八つ墓村のコータのレビュー・感想・評価

八つ墓村(1977年製作の映画)
4.7
800レビュー達成😁

野村芳太郎監督、橋本忍脚本、萩原健一主演、横溝正史原作。

何といっても、横溝正史の原作をオカルトホラー映画に塗り替えてしまった野村芳太郎監督の暴挙!いや功績と表現すべきでしょうか。

閉ざされた田舎の農村、古い因習、血縁、怨恨、祟り… 嗚呼、忌まわしい!

小説の推理部分をカットし、地方の因習や先祖の祟りといった日本の土着的な観念をベースにしたことで、何とも恐ろしい民俗ホラー映画が完成してしまいました。

父親との関係が明かされるまでの映画前半は、今までに観た中で最も気味の悪い映画体験でした。渥美清さんの存在だけが終始癒しでした。

『砂の器』の主要スタッフが再集結して作られた映画ですから、監督、脚本、撮影、美術、音楽はすべて一級品。萩原健一らキャスト陣も軒並み素晴らしく、多くの才能が重なり生み出された屈指の大作映画だといえます。

特にビジュアル面において、本作のおどろおどろしい雰囲気の構成に貢献していたのがメイクアップの技術。
小川真由美の般若面、山崎努演じる多治見要蔵の造形、謎めいた双子の老婆(市川悦子)の老けメイク。どれもあわや滑稽なシーンになりかねないところでした。

オカルト要素の強化に代表される原作との解離を、改変ととるか、オリジナリティととるか。私としては、原作に忠実だとされる東宝版の金田一耕助シリーズよりも強く心に残る、貴重な映画体験ができました。
コータ

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