テーマ性のあるゴジラ映画です。「初代ゴジラ」「シンゴジラ」とゴジラを戦争や災害のメタファーとして描くことで深いテーマを描いていました。本作では、ヘドラが「公害」のメタファー(メタファーどころか直球ですが)として描かれています。また、何も考えずに踊り狂うヒッピーのような若者など時代性を反映した良いゴジラ映画だと思いました。
冒頭からびっくりしてしまいますね。社会問題を語る強烈な歌からスタート。映画を見終わっても記憶に残る歌ですね。その歌は内容は汚染、公害によって地球が汚くなってしまっていると歌っている。冒頭からこの映画のテーマはこれです、と言わんばかりの構成です。
そして今作の怪獣ヘドラ。ゴジラが主役ではなく、完全にヘドラが主役でしたね。少し可哀そうかと思うバックグラウンドがありつつ、それでも人類に害を与えてしまっている。人間が生み出してしまった怪獣を救世主ゴジラが倒す、本当にそれでいいのか、根本的な解決ではないのではないかと、あえて疑問にさせるもので良かった。
描写がトリッキー。冒頭の歌もそうですが、ヘドラのまき散らす物質によって人間が溶けて骨になってしまう描写は恐ろしい。トラウマものになるでしょう。宮崎駿監督のポニョのような、少年と得たいの知れないものの出会いから始まるストーリーだっただけに結構エグイ描写の数々でそちらも印象深い。ゴジラ側も肉体が溶ける描写があったりと、結構強い怪獣ですね。
ただ惜しい点として挙げるなら、ラストバトル。ラスト20分ほどはゴジラとヘドラが戦っているだけ、ストーリー的な展開もなく、また絵としてワンパターンになってしまっていて退屈でした。