地底獣国

ゴジラ対ヘドラの地底獣国のレビュー・感想・評価

ゴジラ対ヘドラ(1971年製作の映画)
3.3
アヴァンギャルドジュヴナイル映画

水銀コバルトカドミウム〜♪と、一度聴いたら耳にこびり付くフレーズが秀逸な主題歌「かえせ!太陽を」。作詞した監督も気に入ったのかOPクレジット含め劇中で3回流してる。

主人公の研少年(小学二年)が何の説明もなくゴジラとテレパシーでリンクして、ヘドラと戦うためにやって来るのを察知したり、本筋と関係無く研の叔父にあたる柴俊雄がアングラバーで飲んだくれて幻覚を見たり、そのガールフレンドがボディペインティングして(実際にはボディスーツだが)「かえせ!太陽を」を熱唱したりと、いい意味で変な要素をいろいろぶち込んでくる。

ヘドラの生態や弱点についても研の父親が海洋生物学者で、噛み砕いて説明してくれる親切設計なので話がテンポ良く進む、と言いたいところだが…

肝心要の怪獣バトルが非常にダラダラしている。ヘドラの着ぐるみが重くて動きづらかった所為もあろうが、とにかく両者が見合ってる時間が長い長い。時代劇での剣豪や西部劇でのガンマンの対峙みたいなのを狙っていたのかもしれんが、ゴジラの電動招き猫みたいな動きも相まって緊張感に欠ける絵面。

ヘドラの攻撃方法も硫酸を含んだヘドロの塊を撃ち出したり、ゴジラを抱えて上空から投げ落としてさらにヘドロを流し込み生き埋めにしたりとエグいやり方なんだが映像にすると物凄〜く地味。

自衛隊の対ヘドラ作戦の場面もえらくモタモタして、指揮官が「何をやっとるんだ!」って怒鳴った時は「こっちのセリフだ」とツッコミたくなった(ラスト近くのゴジラの怒りの顔は自衛隊の手際の悪さに対するものだったんと違うか)。

この辺り編集や音楽でもっと何とか出来たと思うんだが、初号試写とかで誰も指摘せんかったんやろか。

そして忘れちゃいけないゴジラの飛行シーン、「それで飛べるんやったら熱線を放射するたんびに足が浮き上がったり、地面にめり込んだり、後方にスライドして行ったりせんか?」というツッコミは置いとくとして、やはり見栄えが悪すぎて脱力(ただし以下コメント欄)。

そういう訳で、意欲は大いに買えるが、空回りしてるところも目立ってしまうので手放しでは褒められないなあ。とはいえ幼少期に見てトラウマになった人がいるのも頷ける(押井守はTNGパトレイバーEP6で本作ラストのパロディをやってる)。
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