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シンドラーのリストのmkのレビュー・感想・評価

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)
4.2
画面上の残酷さに涙が出るというのは、初めてのことだった気がする。悲しいでも、感情が動かされたでもない、ただただ残酷な映像に涙が勝手に出てくる。フィクションでも思いつかないような残虐な出来事が、現実で、それもたった70年前に起きていた。本当に衝撃的な映画。そして、誰もが一度は観るべき映画。

しかし、いまだに選民思想や差別思想を持つ人はいくらでもいるし、そういう人はいなくならないだろう。このような出来事が繰り返される可能性は常にはらんでいる。でも、それが繰り返されないようにする責任が後世を生きる私たちにはあるのではないか。

2022/12/5
東欧旅行中にふと思い立って、夜行バスで弾丸ポーランドに。目的はアウシュビッツ強制収容所。ここ数年で、ホロコースト関連の映画をよく観たし、やっぱりこの『シンドラーのリスト』で受けた衝撃は忘れられなかったからだ。東欧にいる今を逃したら、当分行く機会はないと思った。しかし正直、この地に行って、切られた大量の髪の毛や奪われた私物を間近で見ても、そこで起きたことが自分の中で現実味を帯びることはなかった。アウシュビッツの外観は大学のキャンパスか小さい街のよう、ビルゲナウは酪農場のように、よく整備されていた。ガイドさんの話を聞いても、あまりにも非現実的で、想像のしようがない。本作は、観ていて辛い映画ではあるけれど、こうやってなるべく忠実に映像化して、何が起きていたのか、想像しようがないほど残虐であったホロコーストとはどのようなものだったのかを後世に伝えていくために、すごく重要な映画だと改めて感じた。
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