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シンドラーのリストののりのレビュー・感想・評価

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)
3.8
まずS・スピルバーグ監督を褒めたい。彼はアドベンチャー、パニック、戦争物、コメディと多様なジャンルをハイクオリティで描く世界で最もポピュラーな映画監督であるが自分はこの作品こそ彼の最高傑作でもあり底力でもあると思う。

ドキュメンタリー・タッチだが彼のこだわりが存分に表れていた。モノクロ映像、その中で強調されるカラー映像を用いた手法。老若男女問わない残酷なナチスの集団殺戮、そして奴隷達の表情や心情、シンドラーの偉大な功績を丁寧に描いている。

シンドラーもナチ党であり、ユダヤ人奴隷たちを初めは金儲けのための労働力として雇う。その後、集団殺戮を目の当たりにする。赤い服を来た女の子の死体を見た彼の表情が非常に印象的だった。

ユダヤ人を利用して膨大な金を手に入れたシンドラーが最後金がもっとあれば、もっと努力していれば命をまだ救えたのにと嘆く姿に心打たれて思わず泣いた。その後、シュターンの『1人の命を救える者は世界を救える』という返事もまたグッとくる。この作品の核心ではなかろうか。

美化されすぎているなどの証言に基づいて賛否両論もあるだろうが彼の勇敢で他人の為に泣ける人柄と1000人を超えるユダヤ人を救った偉大な功績に賛辞を送りたい。
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