兎々丸

シンドラーのリストの兎々丸のレビュー・感想・評価

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)
5.0
ジュラシックパーク制作を条件の上で制作権を手にしたスピルバーグが10年温めて構成を練って作られた大作。
8ミリビデオからなるカラーをモノクロにする為に周りとの色の明暗などが計算され尽くされたセットや人々の衣装。
制作費の関係から基本的にNG無しの1発撮りって言うのが凄い。
確かに撮影し直すとかなり大変だなぁってシーンばかりだった。
スピルバーグがシンドラーのメインテーマにバイオリンの天才イツァーク・パールマンを起用。
彼が自分以外にもっと素晴らしい人が居ると辞退しようとしたけどスピルバーグが『それは知ってるけど君より素晴らしい彼らは皆、この世に居ないんだ』と口説き落としたとか最高では?
モノクロだけどもカラー映画と変わらない気持ちで見る事が出来る映画。
観て欲しい所が満載の作品。本編最初に使われてる『暗い日曜日』が凄い良い。1933年にハンガリーで発表された曲で、まぁうん!結構色々な逸話がある曲なので調べて下さい。
また俳優同士の身長差を考慮した撮り方も良い!
ベン・キングスレーも身長有るけどリーアム・ニーソンの身長が高いから撮影する時も遠近法使っててなるべくこう身長差出さない感じも好き。
二人の掛け合いがお互いを探り合うビジネスな関係から少しずつ少しずつ互いにとって無くてはならない存在に変わって行くのも見所。
実力派のレイフ・ファインズが熱演したアーモン・ゲート。観客に憎まれ、嫌われ、死ぬその瞬間すらもざまぁみろと思わせられる彼の演技は本当に素晴らしい。
スピルバーグ自身がユダヤ系アメリカ人で在るからこそ見えてる視点、見せなければならない歴史の在り方を一つの作品という映像で学ばせて貰える。
細部において丁寧に繊細に時に大胆さもあり。
スピルバーグ監督が語る様にこの映画は人種差別から生まれる相手の人格ではなく互いの血が違うと言う事で他者を攻撃する人間の心の闇を描いてるんだなぁと考えさせられた。
映画の中で何度も人間の尊厳とは?って考えさせられる場面に幾度も当たる。その度にこれは自分にも当て嵌まりはしないかって真剣に悩まされる。
人生一度でも良いから観て欲しい映画に私は『シンドラーのリスト』を上げさせて頂きます。
兎々丸

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