ねぼすけ

シンドラーのリストのねぼすけのレビュー・感想・評価

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)
4.6
最近、映画化もされ話題になっていた「帰ってきたヒトラー」を読了したので、ヒトラー繋がりでこちらを鑑賞。

モノクロームでの映像は残虐過ぎる場面を中和させ、見るに耐えるものにしていたように感じた。さらに、元から慈善的であったわけではない主人公の心情変化を、劇中の中盤で唯一色彩が分かるようにした赤い服を着ている少女を映すことによって表していたのかなと思う。

説明過多にならず、当時のユダヤ人の迫害がどういった過程を辿ったのか分かり、独裁体制の下で人々はどんな思考や行動をとるのか要所々々で描かれていた。スウェーデンで制作されたドキュメンタリー作品「独裁者の部屋」を見たばかりだったので、そこでの実際の人々のやり取りとリンクして見れたのも個人的に興味深かった。
恐ろしいのは、あくまでユダヤ人迫害も政治的な政策の一つに過ぎないということ。

最後は私財の全てを投じてユダヤ人を救ったシンドラー。
バッチを握り締め、これを売ればまだ1人救えたのに。人ひとり救えたんだぞ。と泣き崩れる姿に、この映画が訴えたかったことの全てが詰まっていたのではないかと思う。

あまりに大量に死んでいく人々を見ていると非現実的過ぎて、途中から見ていても1人1人の死に感情移入しなくなってしまっていた。でも、最後に1人の命の重さについて突きつけられる。

地平線から歩く姿がカラーになり。現在へ。シンドラーにより助かった人々がシンドラーの墓に石を置いていく。これが現実にあった出来事なのだと改めて思う。
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