アラシサン弐

ヘドウィグ・アンド・アングリーインチのアラシサン弐のレビュー・感想・評価

4.0
まず、曲が絶妙。

なんか、デヴィッドボウイとかの影響でレコード出して数曲ヒットしてその後に一発屋になってしまったグラムロックバンドとかにありそうな、ロックファンの懐に妙に届く音楽と演奏で好きだった。
後半で完全にイギーポップ乗り移るところが特に好き。

ヘドウィグにとって、というか人間にとっての「片割れ」って何かを考えてしまうな。

アングリーインチのせいで自身のアイデンティティにコンプレックスを抱えて、「片割れ」の存在を探し迷って、しかもそれが原因で愛してると言ってくれた人にも拒絶される。
それでも、アングリーインチごと自分を受け入れたとき、自分と拒絶された相手の姿が鮮明に重なって「片割れ」でなく一つになった彼女の周りには、たくさんの人が手を挙げていた。

人はなにか重大なコンプレックスを抱えていても、それが原因で人生に苦悩しても、自身を受け入れることで完全体になれるというようなことを、場末の会場で歌い狂う彼女が伝えてくれたようだった。
アラシサン弐

アラシサン弐