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殯の森のあのレビュー・感想・評価

殯の森(2007年製作の映画)
3.8
ドキュメンタリータッチに見えて、ファンタジーというか寓話だと思った。
子どもを亡くした女性と奥さんを亡くした認知症の老人。無邪気な老人は、介護士の女性を突き飛ばしたり、逃げだしたり迷惑ばかりかけるが、どれも彼にとってはふざけているわけでもなく、ピュアな行動。
そもそも2人で山に入るなよとつっこみたくなるけど、これは寓話だからこれでよし。どんどん山の中に入る老人に、女性は行かないでーっと泣き叫ぶ。それはどこに?あちらの世界へ。ではないか。子を亡くしたときに同じように泣けたのだろうか。夫に責められつづけ、子供のように泣き叫ぶことができなかったのではないだろうか。
途中、出会う巨木に涙を流すのは必然に思えた。なんと大きな。守られていると感じる。そして、老人があそこでもし死んだとして、自分もそんな最期がいいなあと思った。電波が届かないところで、風にお願いしては、いらない。
あ