アキヒロ

殯の森のアキヒロのレビュー・感想・評価

殯の森(2007年製作の映画)
3.3
美しい…。

日本にもまだこんな美しい風景が残っていたんだと思わされた。
奈良県東部の山間部で撮影したようだが、コンビニやチェーン店、原色の店の看板などが映らずに、ひたすら緑色の森、青空が広がる。
その中で「もがり」という、人が死に、その死を悼む大事な期間を描く。

介護施設にいるしげきは認知症で、「真子」という名の妻を亡くしている。
その介護施設にやってきた真千子に真子のおもかげを見ている。
一方、真千子も息子を失っており、二人には大事な人を亡くした"もがり"という共通点があった。

そんな二人が車の故障で森の中に迷いこむ。
しげきが森の中で、川を渡ろうとするとき、しげきは川を渡りたがるが、真千子はそれを必死で叫んで止めようとする。
しげきは妻の元へ早く行きたいからこそ"三途の川"を渡りたいと思い、真千子は夭折した息子や離れて行ってしまった夫のことを思い「行かんといて!」と絶叫した。
おのおのの死者の悼み方が表現されている(しげきは死者の元へ早く行くこと、真千子は必死で生きることで死者を悼んでいる、言わば真逆の追悼方法)。

ただ、最後真千子がしげきのオルゴールをえんえんと流し続けるシーンはたっぷり5分以上あって、さすがに辟易とした。
40秒もあれば十分。
アキヒロ

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