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テンペストのodyssのレビュー・感想・評価

テンペスト(2010年製作の映画)
2.0
【失敗作】

シェイクスピア最後の劇作を映画化したもの。本来の主役が男なのに、それが女(ヘレン・ミレン)に変わっているところがミソなのかな。

思うに、劇作を映画化する場合、大胆にやらないとダメだと思う。原作の劇場的な部分を下手に残すと、映画としては退屈だったり不自然だったりする。演劇が舞台という限られた空間で展開されるがゆえに人工的な書割を観客が容認しやすいのに対して、映画はそうじゃないから。

その点、この映画はうまく行ってないという気がする。筋書き、セリフ、書割、登場人物の性格・・・・それらが演劇の尻尾を残しているために、映画として見てトロい感じで、さればといって演劇作品そのものでもないということで、中途半端に終わっているのです。

また、キャリバンなんかは、最近のポストコロニアリズムの風潮下では、哀れな被略奪者で、プロスペロ(ここではプロスペラ)が略奪者ってことになるはずだけど、そういう視点が全然ないですね。フェミニストって西洋中心主義者なのかな(笑)?

ま、失敗作でしょう。ジュリー・テイモアは、『タイタス』では悪くなかったんだけどね。次回は頑張ろうね。
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