みおこし

赤ちゃん教育のみおこしのレビュー・感想・評価

赤ちゃん教育(1938年製作の映画)
3.4
クラシック映画の勉強!ハワード・ホークス監督の代表作であり、コメディ映画の礎を築いた記念碑的作品。

長きに渡って恐竜の化石の巨大展示の制作に情熱を傾けている考古学者のデヴィッド。あとは鎖骨を加えるのみで完成というところで、ひょんなことから出会ったスーザンというおてんば娘と行動を共にすることになり...。

まさに"スクリューボール・コメディ"のパイオニア・お手本というのにふさわしい、饒舌すぎる登場人物たちの会話。とにかくテンポも良いし、笑えるギャグが五月雨式に登場します。そもそも1938年って、第二次世界大戦の開戦前!そんな時代から、今観ても爆笑必至のコメディを生み出していた監督の手腕を考えると本当に脱帽。こうやって自分が生まれる遥か昔のフッテージを通して感動できるって、改めて古い映画を鑑賞する醍醐味だなあなんて。

その一方で、個人的にはキャサリン・ヘプバーン扮するスーザンに信じられないくらい共感できず...。彼女の奇行に終始イライラしてしまって、とにかくデヴィッドが気の毒でした。もし私がデヴィッドだったら、どんなにお茶目な子だったとしても一瞬で絶好だなと(笑)。
マシンガン・トークもスーザンがギャンギャンまくし立てるように話すので、どこか癇に障ってしまって素直に楽しめず。他のホークス作品でいうと、『教授と美女』のバーバラ・スタンウィックが本当に素敵だったのでその違いにびっくり。でもゲイリー・グラントの生真面目すぎるデヴィッド役に癒されたので良しとします(笑)。とはいえ、キャサリン自身は女優さんとして本当に素晴らしいのは間違いないし、これぞホークス監督の作品らしいヒロイン像だなと。でも私は後年の『冬のライオン』『招かれざる客』『黄昏』あたりの彼女の演技が好きなんだなと実感しました。

タイトルの"赤ちゃん(Baby)"は、ご存知の方も多いですが本作において重要な立ち位置を占めている豹の赤ちゃんの名前。一体どうやったらこの時代に豹に演技を付けられたのだろうとびっくり...!それくらいリアルな名演技だったし、まだ小柄な体躯も可愛らしかったです。
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