【女泥棒に縛られたい】

先日『悪魔の人形』に感心し、トッド・ブラウニングを改めて、追ってみようと思った。

これは1919年の初期サイレント作品。が、フィルムは現在、6リール中の1リールしか残っていないそうだ。

それが見つかったのは、かつてカナダで映画が見られた極北の場所、過去にはゴールドラッシュで沸いたドーソン・シティ。たまたま、この事件を追ったドキュメンタリーを見ていたので、ちょっち驚いた。

Dawson City: Frozen Time
https://filmarks.com/movies/92202

で、本作はネットで見られるが、一部しか残っていないから当然、全体の評価はできない。

ところが、これが充分、オモロイんだ！

原題は“The Exquisite Thief”、極上の泥棒、といった意味らしい。

当時のスター、プリシラ・ディーンが蠱惑的な女泥棒を活き活きと演じており、彼女を見ているだけで飽きない。現代の感覚だと、インド映画に出てきそうな美人さんだ。

光と影の使い方が見事で、カーチェイスなどもちょっと、インディ・ジョーンズを彷彿させたりする。

あと、おそらくこの監督の性向はフェチ気味で、それが映画の艶ともなっている。

全体がこの調子で仕上がっていれば、娯楽映画としてはカナリのもんですよ。

いつか、完全版のフィルムが見つかったら、ぜひ見てみたいもの。しょぼい新作群よりずっと期待が持てますね。

<2025.4.23記>