くりふさんの映画レビュー・感想・評価

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25日・最初の日(1968年製作の映画)

3.5

【怒りと建前の、赤いコラージュ】

随分昔、特集上映で見ていたが、アマプラで配信終了になるというので、久しぶりに再見。

1917年のロシア革命を、熱さみなぎるコラージュで叩きつけた短編アニメ。しかし
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ファウスト(1994年製作の映画)

3.5

【トホホな茶番劇にこそ真実が】

ヤン・シュヴァンクマイエルの長編二作目。これは未見でしたが、アマプラで配信終了するというので見てみた。

前作よりはテンポが出てきたが、出来事の串団子である単調な展開
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田園詩(1976年製作の映画)

3.0

【美しき異物混入が、馴染むまで】

特集上映『オタール・イオセリアーニ映画祭』にて。

目と耳の滋養になったが、心は概ね退屈だった。本作をつくるには物語るより、当時のジョージア、あの地域でしか得られぬ
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ランナウェイ・シーフ(2023年製作の映画)

3.0

【おそらのどろぼうがえし】

Netflix新作ヒンディー映画。身勝手な主人公らへの青空拷問ムービー。旅客機乗客には大迷惑のディザスタームービー。

ツッコまれてもスルーするよ!な仕上がり。スットコぶ
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落葉(1966年製作の映画)

4.0

【ワインの樽には善も悪も詰められる】

特集上映『オタール・イオセリアーニ映画祭』にて。

オタ監督の、上映禁止を食らった長編デビュー作ですね。ユーモアとラブと、やっぱり居心地悪さが同居してました。精
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四月(1962年製作の映画)

3.5

【インベージョン・オブ・ドリーム・ファニチャー】

特集上映『オタール・イオセリアーニ映画祭』にて。

オタ監督の中編デビュー作ですね。前半、浸りました。後半、なかなか退屈でした。結末に安堵はしました
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珍しい花の歌(1959年製作の映画)

3.0

【花を愛でることも欲望なり】

特集上映『オタール・イオセリアーニ映画祭』にて。

私は、今回の映画祭がオタさん初体験で、8本ほど見られましたが、どれも私にとってはどこか、退屈な時間を含んでいました。
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水彩画(1958年製作の映画)

3.5

【絵に描いたもち家】

特集上映『オタール・イオセリアーニ映画祭』にて。

イオセリアーニ監督が、国立映画大学の在学中に撮ったものですが、IMDBなどでもTVとあるので、TV放映はされたのかな。

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ジャバウォッキー(1971年製作の映画)

4.0

【囚われの匣のアリス】

シュヴァンクマイエル比較的初期の短編。他より粘度がサラリと薄いのがよかったか、いま見ても新鮮に感じる。1971年の作品だが、タッチにMVのような軽さがありますね。

ざっくり
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テス 4Kリマスター版(1979年製作の映画)

3.0

【いちごを食んだだけなのに】

あまり期待はしなかったものの、劇場でキチンと見たかった物件。

ナタキンの美貌とロケ撮影の素晴らしさは、やはり劇場体験だと効く!物語的には終盤でやっと、ポランスキーらし
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ゾンビーワールドへようこそ(2015年製作の映画)

3.0

【ゾンビのてぃんこはよく伸びる】

アマプラ見放題にて。ズラし上手クリストファー・ランドン監督の過去作なので興味わき。

ふつーのゾンビコメディでしたが、ボーイスカウトの童貞トリオを主役で動かしたこと
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西部戦線異状なし(1930年製作の映画)

3.5

【ドイツはじき空になる】

2023アカデミー賞落ち穂拾いで、2022年版を見ようと思ったが、先にこちらを再見したくなり。見たのが昔々で、すっかり忘れてしまったし…。

舞台演説みたいに語り始めちゃう
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パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)

4.5

【地の下の天上界】

日本最終上映とのことで、行ってきました。正確には、日本国内の上映権利が本年9月で終了するのに伴う、最後の大規模ロードショー、とのこと。

公開はもう17年前なのか。もはや記憶に薄
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歌うつぐみがおりました(1970年製作の映画)

4.0

【はまらぬ歯車】

特集上映『オタール・イオセリアーニ映画祭』にて。

ようやく、初期ジョージア時代の作品を見ましたが、得難い体験でした。

一次的には、イオセリアーニ流の“日常系”映画ですね。

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レオシュ・ヤナーチェク(1983年製作の映画)

3.5

【昏き箱庭のオペラ】

クエイ兄弟の初期作品で、チェコの音楽家ヤナーチェクの伝記…というより、焦点を晩年の創作活動に絞り、そのスピリッツをクエイ濾しで炙り出したもの。

初めて見た時、ヤナーチェクの知
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マーサ・ミッチェル -誰も信じなかった告発-(2022年製作の映画)

3.0

【私は貝にならない】

2023アカデミー賞落ち穂拾い。Netflixにて。

これが短編ドキュメンタリー部門ノミネートって驚き。ファスト映画みたいだから。ニクソンへの“影響力”を映像でこう直球投げた
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007/ムーンレイカー(1979年製作の映画)

3.5

【スパイスは“ジョーズ2”】

アマプラで見かけ、久しぶりに見返したくなったので。

この頃は007、封切りは正月映画枠でしたね。当時は子供だったしSFブームの渦中…SWや未知との遭遇などと比べて見た
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(1965年製作の映画)

4.0

【わるい手】

チェコアニメの巨人、イジー・トルンカ、1965年の遺作短編。

端正に作り込まれ、やがて凄みに至るパペットアニメ。今ではちょっと説明的で説教くさくも映るが、久しぶりに見たら、現代だから
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ONE PIECE FILM RED(2022年製作の映画)

1.5

【先に言えよ!】

アマプラ見放題に入荷したので、昨年のヒット作ということもあるし、見てみた。

ONE PIECEには縁がなく、原作もアニメもあまり触れていない。これは独立した一本としてフツーに見ま
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フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.0

【映画が浮き彫りにする光と影】

某所から、甘口映画愛映画ではなく、むしろ逆と聞き、興味が湧いたので行ってみた。

こじんまりだが奥深い、よい映画でした。スピルバーグをここまで身近に感じたのは初期作以
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アラビアンナイト 三千年の願い(2022年製作の映画)

4.0

【ティルダのゴラム】

気にはなっていたが、ジョージ・ミラー監督の新作なので、個人的には期待と不安の2食パン。が、主演はティルダ様という担保もあるし、行ってみた。

見ればおお!拾いものじゃん!コレ、
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皆さま、ごきげんよう(2015年製作の映画)

3.0

【歌ってみても他人事】

特集上映『オタール・イオセリアーニ映画祭』にて。

2015年作で、冒頭、監督出身の隣国ウクライナへの戦乱予感が刻まれている…と受け取ってしまうが、監督は延々繰り返される愚行
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映画 おかあさんといっしょ ヘンテコ世界からの脱出!(2021年製作の映画)

3.0

【ニッポンミュージカルのひそやかな伝統】

Netflixで推していたので。向こうとしちゃ商売だが、視野外だった作品に触れる機会を作ってくれるサブスクは、ありがたい存在ではあります。

…で、三作目ら
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汽車はふたたび故郷へ(2010年製作の映画)

3.5

【そして誰もいなくなった映画館】

特集上映『オタール・イオセリアーニ映画祭』にて。

作中、映画は90分に収めるべき…という話が出てくるが、126分という本作も、そうなっていれば満足度がもっと、上
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蝶採り(1992年製作の映画)

3.5

【人生ちょっとあこぎな話】

特集上映『オタール・イオセリアーニ映画祭』にて。

初イオセリアーニ。本当は短編から入りたかったが、中々時間が合わなくて。んが、初っ端コレでよかったのか?…なんじゃこのラ
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ちひろさん(2023年製作の映画)

1.5

【ふわっとシンドローム】

Netflixにて。劇場なら腹立ったかも。全世界の映画と比べているワケじゃないが、邦画ってこんな、毒にも薬にもならぬ“何つうかふわっとしたの”がメジャーの前面に出て来やすい
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禁じられた遊び(1952年製作の映画)

3.5

【戦圧に心つぶされる子供たち】

アマプラにて。反戦映画の名作的位置づけですね。子供のころ、家族で見て、皆でしんみりした記憶があります。

再見すると、記憶よりはドライな仕上がり。邦画あるあるなお涙頂
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.5

【セカイ系カンフー】

まずはミシェル・ヨーありきかなと。ホントに疲れたオバサンに見えて、でもカンフーは会得しており、地味だが奥深い魅力も担保している。彼女だからこそ、面白い。

で、彼女を適切に使い
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屋根裏のアーネスト(2023年製作の映画)

3.0

【ダメ霊の涙】

Netflixにて。発想のズラしが巧い、クリストファー・ランドン監督の新作なので見てみる。

引越し先に幽霊が居た!てーのはよくある王道話。新味は、どんなゴーストを出すか?だったりす
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年をとった鰐(2005年製作の映画)

4.0

【“ワニの涙”とはウソ泣きのこと】

アニメ作家・山村浩二の、2005年の作品。原作は未読だが、フランスの作家、レオポルド・ショヴォーが1920年代に書いた創作童話を、忠実にアニメ化したらしい。

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100万年地球の旅 バンダーブック(1978年製作の映画)

3.0

【1978年手塚の旅 ワンダーブック】

アマプラ見放題で出てきたので。日本初の“2時間アニメ”。でもコレ、TV放映のみだったと思うが、カテゴリはココ、映画でいいの?

見ていたら、若干残っていた、当
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イン・アブセンティア(2000年製作の映画)

4.0

【鉛筆の牙】

クエイ兄弟、2000年の作品だが今みても鋭い。ある念に憑かれた女と、そのプライベートスペースでの不条理を、クエイ流の美醜で極めようとしている。

ホラー表現全般への、クエイ兄弟なりの回
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THUNDER(1982年製作の映画)

4.0

【プログラム・エクトプラズム】

伊藤高志作品、『SPACY』で刮目させられた後、次の衝撃は、私はコレでした。

こちらも手法自体が映画、という映画。用意された大量の静止画を順に並べる、映画の原理どお
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おひとりさま族(2021年製作の映画)

3.5

【普段からいつも怒ってるの?】

JAIHOにて。大阪アジアン映画祭2022グランプリ受賞という前に、まず91分の短尺に感心し、私にとっては『小公女』に次ぐ韓国おひとりおんな最新形だ…と惹かれ、見てみ
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ドリームガールズ(2006年製作の映画)

3.0

【ソウルガールズ】

Netflixにあったので久しぶりに。公開からもう17年経つのか…。古臭くはないが、今では味が薄まったようだし、やっぱり時代が変わったなあ…と実感する。

初見時の記憶はないが、
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エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

3.5

【帝国は枯れても、光は灯る】

サム・メンデス監督の新作で、舞台は英国海辺の寂れた街…の映画館、ってトコで惹かれ、行きました。

007や1917で、私の好きなメンデス道からはみるみる外れたが、本作で
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