くりふさんの映画レビュー・感想・評価

くりふ

くりふ

落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.5

【その綱渡りの先は?】

何となく先送りにしていたが、アマプラ見放題に入荷したので見てみた。

人間ウォッチング、家族ウォッチング映画としてはたいへん面白かった。

謎解きが目的の映画ではないですね。
>>続きを読む

ヴィジャイ、69歳(2024年製作の映画)

3.0

【年寄りの冷や水も浴び方しだい】

Netfrixヒンディー、YRF安定の新作。69歳にしてトライアスロン出場を目指す、アヌパム・カー演じる爺ちゃんガンバルの巻。

終盤なんかもうベタベタで、正直もう
>>続きを読む

薬指の標本(2004年製作の映画)

3.0

【レンコ無垢のころ】

アマプラ見放題から湧いたので。フランスの女性監督が、小川洋子の原作小説を映画化した2005年もの。

公開時は半端なフンイキ映画だと思い、あまり感心できなかった。が、今ではオル
>>続きを読む

ルックバック(2024年製作の映画)

3.0

【人生を額縁に入れてどーする】

アマプラ見放題にて。気になったが、高額入場料に納得できず後回しにしていた。w

表現は緻密で素晴らしい。一方、物語がスカで最後、思わず、え!終わり?と呟いた。

一捻
>>続きを読む

告発の行方(1988年製作の映画)

4.0

【わりと平熱でレイプを追う】

U-NEXTにて。80年代の終わり、もう36年前の映画なのね…。

マトモに見ていなかったが、とあるきっかけで今振り返っておこうと思った。

…で、良作だが意外や、冷め
>>続きを読む

視線(2022年製作の映画)

3.0

【ロスト・イン・トランスレーション】

Netflixの新作と思ったら制作は2022年なのね。『イット・フォローズ』から気になっているマイカ・モンロー主演なので見てみたけれど。

監督は奥野黒江って人
>>続きを読む

ジョディ(2021年製作の映画)

3.0

【告発しようとする行方】

U-NEXTにて。袴田くるみ監督の短編アニメ。

女医さんと女性患者のおはなし。但し、患者は壊されまくったロボ娘さん。

女性虐待をロボットでこう、代弁するのはよきアイデア
>>続きを読む

踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間!(1998年製作の映画)

3.0

【“なんてな”バラエティー搾り】

新作プロモのためか、NetfrixでオリジンTVシリーズの配信を推しており、チョー久しぶりに見てみたら…なんだ、オモロイ!褪せてないね。TVドラマという枠なら今でも
>>続きを読む

人魚(1968年製作の映画)

4.0

【人/魚】

ラウル・セルヴェ1968年の短編アニメーション。示唆に富んでおり、昏いのに、心躍らされる。

野獣的クレーンと、凶暴な翼竜が暴れる不条理な港町。しょぼい漁師は魚の骨を釣る。しかし、港に囚
>>続きを読む

死霊の悪夢(1981年製作の映画)

3.0

【イタホラから来た悪夢】

アマプラ見放題にて。なんかカルト的人気があるようなないような…のでとりあえず、見てみた。

ジョン・ハフは『ヘルハウス』がちょいエロスで好きだった。オカルト映画ブームの中キ
>>続きを読む

深海の光(2017年製作の映画)

3.0

【機械の体はタダでも要らない】

2017年のフレンチ・フルCGアニメ。邦題凡庸、原題なるほど。

海洋汚染の表象として、海洋生物の体が廃棄物…鉄クズとのハイブリッドに変質しているという世界観。

C
>>続きを読む

デスティーノ(2003年製作の映画)

3.5

【ダリでファンタジア】

記憶にあるが、初見は2006年のディズニー・アート展。こりはダリじゃないと思ったが、ディズニー映画なので当たり前…と今ではそここそ、味わいに思える。

WWⅡ終戦ごろ制作始ま
>>続きを読む

ドント・ムーブ(2024年製作の映画)

3.0

【映画筋は都合よく弛緩する】

Netflix新作ファストフード・サスペンス。

ここのあらすじでもネフリの解説でも言っちゃってるから、筋弛緩剤に触れても問題ないと思うが、要のソレがサスペンスにならな
>>続きを読む

ワンダフル千鳥足 in ワンダーランド(2020年製作の映画)

3.0

【道中づけない女】

先日、『Journey to the 母性の目覚め』を見たが、まだ岡田詩歌のことがよくわからなかったので、前作に当たるこちらも見てみた。

失恋のショックから、歩き酒で酩酊しなが
>>続きを読む

ジョイランド わたしの願い(2022年製作の映画)

4.0

【共感のヒエラルキー】

予想と違った展開。が稀有な体験となった。そもそも、パキスタンの映画が見られることが貴重だし。

映画本体は一見、保守的な作りだが、そんな映画あるあるの状態から、構成でメタ的な
>>続きを読む

The Amputee(原題)(1974年製作の映画)

3.5

【ミニマムリンチ】

デヴィッド・リンチが『イレイザーヘッド』制作中断時に撮ったという初期短編。なんでも、AFIに依頼されたビデオテスト用映像らしいけど…。

もし“リンチ映画を三語で説明しなさい”な
>>続きを読む

Journey to the 母性の目覚め(2021年製作の映画)

3.0

【机上の母】

U-NEXTにて。正直、他人事だなーと思った。

作者にとっては重要なことなのでしょう。共感する人も一定数いるだろうが、これは母性の考察ではなく、母性と言われるものへの感想断片が、ダー
>>続きを読む

ビニール袋の夜(2018年製作の映画)

3.5

【ナイト・オブ・ザ・リビング・ポリクラゲ】

2018年のフレンチ短編アニメだが古びておらず、画は今でも充分おもしろい。日本のアニメからこんな画は現れないことが、それだけで見る価値になる。そこに、新た
>>続きを読む

切り札(2024年製作の映画)

3.5

【ルールの正しい破り方】

Netflix新作ヒンディーDVサスペンス。見た目ユル甘だが奥の餡子が、実はピリリ。

家庭内での女性虐待を扱っており、インド映画でこの手は増えているが、またか…という気分
>>続きを読む

「夜の蝶」 ラウル・セルヴェ作品集(2000年製作の映画)

4.0

【デルヴォーで夜遊び】

ラウル・セルヴェは確か、若い頃に特集上映で一度見てあまり感心しなかった。我ながら当時は、映画見の器が狭過ぎたと思う。

『夜の蝶』だけの感想を記すが、ここでは単独のページがな
>>続きを読む

おそろしい闘牛士(1929年製作の映画)

3.0

【うらがえうし】

ディズニーのシリー・シンフォニーシリーズ、『骸骨の踊り』に続く二本目。

当時の、笑いの質がよくわかって善き。まあ、変顔で笑いを取ろうとするレベルだけど。

男の二大欲望、性欲と征
>>続きを読む

プロコウク氏 映画製作の巻(1947年製作の映画)

3.5

【監視カメラさん】

カレル・ゼマンのパペットアニメ、プロコウク氏シリーズの一本。

愉しい映画制作の現場を描くのかと思ったら、映画を撮ることへの風刺だった。

フィルムカメラで撮影されるということは
>>続きを読む

スイートボビー: なりすましという名の悪夢(2024年製作の映画)

3.0

【恋は病】

Netflix新作、驚きのロマンス詐欺ドキュメンタリー。今やこんなコトが起き得るのか!と知れたことはよかった。また、恋愛感情とはいい加減なものだ…という“真理”を改めて教えられる。

S
>>続きを読む

UFOを愛した男(2024年製作の映画)

3.0

【アルゼンチンの矢追さん…か?】

Netflixアルゼンチン新作、なんとも毒の効かないトンデモ話。

個人的感覚だと、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』よりは楽しかったかな。

主人公のUFO突撃レ
>>続きを読む

アイズ・オン・ユー(2023年製作の映画)

3.5

【語りは巧いが物語にならない】

Netflix新作でアナケン監督デビュー作。

70年代に女性がどう扱われてきたか、現代の女性視点から語り直すところは巧い。男に逆襲しつつ、しかし限界が来る恐ろしさも
>>続きを読む

アブラカダブラ(1970年製作の映画)

3.0

【陽傘よい傘わるい傘】

大家フレデリック・バックも、キチンと見直して行きたい。これは1970年、劇場映画の第一作となるのかな?

アニメーションの楽しさって、こんなんでいいんだよ!と思わず言いたくな
>>続きを読む

Rez Ball/レズ・ボール(2024年製作の映画)

4.0

【負けない“血”】

Netflix新作の王道バスケ物語。しかしスタッフ・キャストがネイティブ・アメリカンであるのが独自の個性。爽やかな仕上がりなのに、かなりの痛みを伴い、心に刺さる。そして応援したく
>>続きを読む

イン・ハー・プレイス(2024年製作の映画)

3.0

【忘法侵入の女】

Netflixチリ新作。ネフリ制作ではなく、完成後にお買い上げされたらしいですね。

1955年、実際にあった、人気女性作家による恋人の射殺事件が、映画の元。そして、他の女性殺人者
>>続きを読む

Vzpoura hracek(原題)(1946年製作の映画)

3.0

【ヒトラーの正しい使い方】

まだまだキチンと見ていないアニメーション作家は多く居て、チェコアニメ草創期の女性監督ヘルミーナ・ティールロヴァーもその一人。

実質的処女作『アリのフェルダ』がとてもよか
>>続きを読む

四季(1969年製作の映画)

4.0

【馬術から魔術へ】

ロシアンアニメ初期巨人のひとり、イワン・イワノフ=ワノはまだ、殆ど見ていない…。ノルシュテインと共作した『ケルジェネツの戦い』くらい。本作は、その前作に当たるらしいが。

粗雑な
>>続きを読む

水玉の幻想(1948年製作の映画)

3.0

【ガラス細工を動かす注意点】

カレル・ゼマンの、これは知られた作品かと。“ガラスアニメ”。すごく真っ当な発想で、狙いはわかるんだけど…。

初見は若い頃、何かの特集上映にて。その時からあまり、感心で
>>続きを読む

ヒドゥン(1987年製作の映画)

3.5

【実は回虫駆除ミッション】

U-NEXTにて。ネタ的にはB級SFだが軽快なテンポと、意外に洗練された演出で、BからAに、頭ひとつ抜けたような快作に仕上がっている。

久々に見直して、こんなに心地よか
>>続きを読む

花と木(1932年製作の映画)

3.5

【不自然な自然愛】

ディズニー、シリー・シンフォニーシリーズの一本。単純だが辛味も効いて、今の感覚だとキモい動きがそのまま、面白さに代わっている。要は演技力の部分が、現在の美的感覚では、むしろ地味に
>>続きを読む

ボディ・ダブル(1984年製作の映画)

3.0

【たかが映画じゃないか】

U-NEXTにて。改めて見ると、デ・パルマらしさが実は一番出ているかもしれない・・・と思わされた。

ヒッチコキアンたるデ・パルマが堂々コイた、裏窓×めまい+ティッピ娘で劣
>>続きを読む

クリスマスの夢(1945年製作の映画)

3.0

【夜勤ピエロ】

アニメの国チェコが生んだ巨人のひとり、カレル・ゼマンも今後、見直して行きたいなーと。

本作は、処女作かは知らないが、ゼマン最初期のパペットアニメ短編ですね。

1945年作、全編に
>>続きを読む

花嫁はどこへ?(2024年製作の映画)

4.0

【“ちゃんとした女性”詐欺を捨てる】

これは見たかった一本。そしてラストでほぼ、満たされた。

中途の展開がまったり過ぎるのと、ヒンディー娯楽作はまだ、主要人物の大演説で山場を“処理”してしまう手癖
>>続きを読む