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陸軍中野学校のkojikojiのレビュー・感想・評価

陸軍中野学校(1966年製作の映画)
3.6
1966年 増村保造監督 シリーズで増村監督作品はこの1本だけだ。

戦前、戦中に存在したスパイ学校「陸軍中野学校」をテーマにした映画。シリーズ化されていて、本格的スパイ映画になるのは第2作からだ。

stand.fmのこころさんの放送を聞いて、そんなに面白い作品だったか、確認したくなった。
観たのはだいぶ前で、感想としては、「全く面白くないとは言わないまでも、そこまでだったかなぁ」という感じだった。

こころさんの話が上手すぎるもあるのだけど、私も単純だから人に言われるとついその気になってしまう。
しかし、そういうことを差し引いても、「面白かった!」😁

キチンと作られている。それが一番の感想だ。
こころさんが言うスパイ映画らしからぬカット割りや構図の話は確かにそうだった。
それがあまりに丁寧に作られているから、最初の方は眠くなるようなことも、そうかもしれないと思ったが、私は眠くならなかった。
中野学校の訓練のダンスや、鍵の開け方、マジック、職業訓練などの変な訓練も、スパイならそうかもしれないと変に納得した。
私は、この映画は元々シリーズを考えていたと思っている。だから第一作のこの映画では中野学校の訓練をしっかり観せる部分だと、当初からそんな企画だったのではないかと思う。

そういえば、学校の授業と卒業テーマの実践の度合いは、ちょうど「トップガン」の第1作と同じレベルバランスだなと、変なことを思い出した。

カツラをつけない市川雷蔵は、化粧をしてないから目は小さく見えるが、眼光は鋭く、存在感があるのを改めて感じた。
中野学校の授業や訓練では雷蔵はほとんど喋らず、他のメンバーが喋るのを聞いている。
その聞いている雷蔵の目が素晴らしい。しっかり演技していて、「さすが!」と改めて思う。

雪子役の小川真由美は好きでない。
ラスト近く、薬を飲まされ、眠りに襲われながら、下着の雪子がベッドに次郎を誘うシーンがある。すごく大事なシーンだ。
「次郎さんここに来てよ!」と枕を叩きながら彼女が言うのだけど、その演技、声はほとんどあばずれの女性になっていて品が感じられなかった。清純な雪子とは程遠く、ここは興醒めだった。

2023.0404視聴144
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