「陸軍中野学校」
市川雷蔵映画祭から八月にも四作品発売されたが、
今月も同じく彼の代表作四作がBD化された。「忍びの者」「陸軍中野学校」「眠狂四郎 勝負」「薄桜記」4Kデジタル修復版修で登場。これは嬉しい…
くぅ〜これから市川雷蔵のカッコ良く美しい容姿を堪能しますかっ。
他にももっと発売して欲しいなぁぁ。
冒頭、昭和十三年。大日本帝国陸軍スパイ養成機関。
質問責めする参謀本部の人間、英国領事館の外交電信暗号コードブック。
中西の自殺、暗号班、拷問。今、一人の男が愛した人を殺める…
本作は増村保造が市川雷蔵主演にした実在したスパイ学校を描いた作風で、
増村のいえばATG作品の曽根崎心中や音楽、そして原田主演の大地の子守歌などで知った監督で、
漸く本作がBD化され嬉しい。
この度二度目の鑑賞したがどーしても市川雷蔵を時代劇以外の映画で観ると違和感があるが、
何でも熟る彼は凄い。
基本的に一人称的に語られる本作は本当か嘘かわからないがスパイ学校の全貌を初めて描いた作品だと感じる。
まず青春真っ只中の優秀な将校がこの学校に徴収され、
戸籍抹消や肉親との連絡を一切断絶させられた一人の若者の青春を哀しく描いた作風で、
少しドキュメンタリー映像の様な感じがある。
物語は三好次郎陸軍少尉は連隊に奇妙な訪問を受け中佐に色々と質問をされる。
そして靖国神社に集められスパイになって貰うと言われ、
彼を軸に世界情勢の困惑、日本國の立場、現状、人間関係を浮き彫りにしていく…
いや〜言わば秘密戦士とされるスパイの孤独が伝わるも、
国を守る為に必要な犠牲は大きい…
だが国が他国から滅ぼされたらもともこうも無い。
そんなスパイ合戦だった時代に日本にも諜報機関があった。
今はスパイ防止法の議論さえ国会では無く、日本はスパイ天国と右派論客には言われ、
スパイ防止法が制定されたらプライバシーの侵害に当ると左派論客に言われ…
世界では当たり前の様にあるスパイ防止法が我が国に今も無いと思う情けなく思う…。
本作はヒットし後に三人の監督により四作品のシリーズ化がされている。
久々に二度目の鑑賞したが市川雷蔵は素晴らしいね。
それに大映若手スターが勢揃いしてるのも本作の良い点で、他のシリーズも早くBD化してほしいな〜。
時代劇中心に出演していた市川雷蔵もシリアスで悲劇的な終わりを見せる本作の様なサスペンス映画も結局似合うな…。