浅野公喜

手錠のまゝの脱獄の浅野公喜のレビュー・感想・評価

手錠のまゝの脱獄(1958年製作の映画)
3.2
白人と黒人の囚人がタイトル通り手錠で繋がれたまま逃亡する先日亡くなったシドニー・ポワチエとトニー・カーティス主演作品。

まだ人種差別が激しかった時代、こういったプロットの作品は珍しくインパクトが有った事は容易に想像出来ますが、両者の絆が深まるような濃い展開やエピソードが余り無く、シドニーが今まで虐げられてきた人生を語ったり、不当な逮捕や冤罪設定であればもっと良かったかもとちょっと考えてしまいましたし、母子家庭の親子と出逢う辺りからダレてしまうのが少し残念な点。また、この母親もトニー演じる白人にすぐ惚れ肩を入れる一方で黒人であるシドニーには冷たく、しかも逃避行を企てる際には育児放棄も匂わせており、この設定が意図的なものなのかそうでないのか気になる所ですが印象的であると同時に腑に落ちない存在でした。しかしどこか牧歌的な雰囲気も漂うのがユニークな所で、二人にとっては良くない展開でありながらシドニーが歌を歌うエンディングは妙に爽やかでした。
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