【狂気と猟奇の混在】
ジョディ・フォスター演じるクラリスの美貌と勇敢な姿、アンソニー・ホプキンス演じるレクターの狂気と頭のキレ、そして2人の会話に強く心を惹きつけられた。
緊張感のある展開が続くが、レクターと面会を重ねる中でクラリスは自身のトラウマ(子羊の悲鳴)と向き合い、成長し、乗り越えてゆく。
レクターは猟奇殺人犯であることは間違いないが、クラリスの過去を聞き出して心の揺れを引き出す様は優秀な精神科医であったことを裏付けさせる。
レクターはどこかで悪い人間じゃないかとも思わせられた。
クラリスがバッファロー・ビルの正体に気づいてからクライマックスまでは目を離すことができないほどハラハラドキドキの連続。
特にFBI突入とクラリスの訪問のカット切り替え、暗視ゴーグルでクラリスを追い詰める展開には震え上がり、これぞサイコスリラーの金字塔と呼べる演出だった。
他にもカメラワークが優秀で、クローズアップが多用され、人物と物語に引き込まれた。
アカデミー作品賞を受賞した唯一のホラー映画だけある細部までの完成度の高さと魅力ある脚本・音楽・演出、全てが素晴らしかった。
アンソニー・ホプキンス、恐るべし。