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羊たちの沈黙のsuiのレビュー・感想・評価

羊たちの沈黙(1990年製作の映画)
4.5
公開から32年経った今でも名作と謳われるこの作品。いかにも私の好きそうなジャンルなのにきちんと通して見るのは今回が初めてだった。
 
なんでもっと早く見なかったんだぁ〜と
軽く後悔するくらい面白かった(゚ω゚)
 
レクターが人気なのがよく分かる。
正直髪も薄いしスレンダーでもないし結構お年を召しているのだけど、その聡明さと猟奇的なカリスマ性に惹かれてしまう。そしてレクターの瞳が良い。瞳に猟奇的な物を感じ、つい魅入ってしまう。レクターを演じたアンソニー・ホプキンスの表情や雰囲気作りが秀逸。
 
どちらかというと味方…?のような位置付けで、もしかしたら良心のある人なのかも知れないと思ったのも束の間、残忍な手口で看守を殺し逃走してしまう。
 
裏切られたような、やっと見たいものが見れたような不思議な感覚。レクターの猟奇性が発揮された所で終盤に入ってしまうのが「もう終わっちゃうのか〜!これからが面白い感じなのに!」と少し寂しく感じた。
 
しかし、この"悪魔のような猟奇殺人鬼"が野に放たれ、不安を煽る形で幕を閉じるというのが続編を見せる為には上手い手法なのだろう。
バッファロー・ビルを倒して一安心、かと思いきやもっとヤバい悪魔召喚しちゃった!絶望!
ってアニメとかでもベタではあるものね。
もしかしたらその先駆けなのかもしれない(適当に言っている←)
 
そして本作の冒頭に出るHURT, AGONY, PAIN, LOVE ITというメッセージが心に刺さる。
痛みを愛し受け入れる(乗り越える)というのは本当に難しい事だけど、乗り越えようと努力してきたクラリスと、痛みから目を逸らし続けてきたバッファロー・ビルの対比を見せつける事でこのメッセージを観客の心に深く突き立てる。
その極端さが分かりやすく、メッセージ性もあるがやはりエンタメ性も兼ね備えているので面白い。

32年前の作品でもストーリーに古さは感じられず完成度の高さが伺える作品。
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