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羊たちの沈黙のappleのレビュー・感想・評価

羊たちの沈黙(1990年製作の映画)
3.6
ジェンダー映画としてみた。
レクター博士はクラリスが若い女性でなかったら相手にしなかったであろう。そこを利用しながらも、自分もトラウマを曝け出して相手にも利用される、女性ながらの武器と危うさを同時に描く。
クラリスが、男の好奇の視線に常に晒されながら、それを所与に上手く生きる様が描かれる。画面構成上も、紅一点として働く際の緊張感と、女性の同期といる時の安心感が対比される。クラリスの他にも、被害者の女性、母でありキャリアウーマンの議員や、ケーキを切り分けて男性陣に配る女性等、多様な女性の姿が映る。
男性社会を生きる女性は、性の対象で、力が弱く、子を産む存在としての異質性を持つ。一方で、だからこそ、目立ち、男性に守ってもらえ、社会に居場所がある。
女性となることを切望した犯人とは対極の立場にあると言えるのかもしれない。
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