検非違使

たそがれの女心の検非違使のレビュー・感想・評価

たそがれの女心(1953年製作の映画)
3.0
「死ぬまでに観たい映画1001本」961+214本目
日本語タイトルはおかしい。

たぶんに「たそがれの維納(ウィーン)」を意識した邦題で、パリを舞台の仏映画ではあるが、オーストリア出身のオフュルスの流麗なヴィエンナ・ワルツを思わせる作品世界は、世紀末の軽妙な恋のデカダンに観る者を招き入れるだろう。匿名の貴婦人マダム・ド...(D・ダリュー)は浪費で借金をし、夫の将軍に貰った耳飾りを処分した。真相を知った彼(C・ボワイエ)はそれを買い戻し、情婦に与えた。彼女が手放したそれがドナテイ男爵(ハンサムなV・デ・シーカ)の物となり、パリで出会ったマダム・ド...に恋した彼は知らずそれを彼女に贈る。巡り巡った耳飾り。夫人にとっては強い思い入れのある物となったが、亭主には忌むべき物。彼はいきさつを話して一旦男爵にそれを返し、宝石商に売らせるとまた買い戻し、今度は夫人を介して姪への贈り物とする。が、再び夫人はそれを追い求める......。冷めた愛の象徴であった宝石が眩い真実の愛の輝きを帯びるロマンを、女心を知り尽くした粋人が艶やかに綴る逸品。
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