スーパーエイプマン

ブロンクス物語/愛につつまれた街のスーパーエイプマンのレビュー・感想・評価

4.5
最高。
『グッドフェローズ』+『ボーイズ・オン・ザ・フッド』もしくは『good kid, m.A.A.d city』。
ブロンクスのイタリア移民街を舞台に、バス運転手の父とギャングの2人に育てられた少年の成長譚。

ポップ・ミュージックを背景とした軽快な語り口も題材も盟友スコセッシの影響下にあることは明らかではあるのだがスタイルを借りただけではなく、例えば序盤の視線の演出などはかなりリッチで驚いた。俳優たちの顔もいい。
また、話の中にきちんと人種問題を組み込んでるのも好感が持てる。というかブロンクスではこの人種的危うさはかなりリアルだったのだろう(脚本は手掛けたチャズ・パルミンテリの自伝的な要素が強いらしい)。

父・ギャング・主人公の描写が丁寧で、非常にパーソナルな映画になっているのが何よりいい。監督と俳優を務めたデニーロが父に捧げているこの作品には、彼の特別な想いが込められているようにも思える。