紫陽花

ある子供の紫陽花のレビュー・感想・評価

ある子供(2005年製作の映画)
4.4
さすがダルデンヌ兄弟の作品、最後に大きな救いがありました。

ダルデンヌ作品の常連ジェレミー・レニエ扮するダメ男には本当に憤りを感じましたが、どこかしら憎めないのは、彼自身が成長過程で得るべき大切なものを与えてくれる人が周りにいないまま大人になってしまった子供のような幼い印象を受けるからだと、アリバイ工作をお願いしに訪ねた彼の母親の言動から容易に想像できたが、一方で、彼の犯罪に巻き混まれた被害者のことを考えると、そんなこと関係ないという思いも浮かび、非常に複雑でした。

今、彼が唯一頼れるのは、自身の子供を生んでくれた18歳の彼女だけなんだと、ラストのジェレミー・レニエの演技に見入ってしまいました。