MatsumotoHikaru

ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版のMatsumotoHikaruのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

この映画には完全版と劇場公開版がある。
「どちらが優れているか」などの論争が繰り広げられているのを良く目にするが、映画には人それぞれの捉え方があって、正解なんてないと思う。
劇場公開版は2時間5分、完全版は2時間55分。この50分のカットが映画のニュアンスを全く違うモノにしている。

2つの違いを少しだけ上げると、
エレナと離れ離れになるシーンがある。
劇場公開版の場合はサルヴァトーレとエレナは愛し合い、かなり親密になっていたはずだが、父と会って、シーンが変わった瞬間にエレナは手紙1つで行方不明。完全版の場合は離れ離れになる過程が丁寧に演出されている為分かりやすく、感情移入もしやすい。劇場公開版では他にもサルヴァトーレの帰郷後の出来事などが丸々カットされていている。
サルヴァトーレの母は「1度も貴方を愛している女の声を聞いたことがない」のような事を劇場公開版でも言っていたが、あれはエレナとの再会の布石なのに、そのシーンを丸々カットするとは少し驚いた。
個人的には「パラダイス座」を軸に話が進んでいき、「アルフレードの教え通りに生きた男」を感じ、どこかしらで供給会社の「都合」が影響しているようにも感じ取られる劇場公開版よりも、「トルナトーレの作った映画」を感じ、「サルヴァトーレという男の人生」をも知る事が出来る完全版が好き。
サラッと見るとしたら劇場公開版はオススメ。
ただ見終わった後の感動、ラストシーンでグッと来るものが全く別物なのが完全版の好きところ。
人の好みは、別れるだろうが私のオススメはまず完全版を見て劇場公開版を見る。逆でもいいかもしれない。とにかく見比べてみると全く意味合いが変わってくるこの映画はそういう点に置いても面白いし、自分の大好きな映画のひとつ。