なんちゃ

ギャング・オブ・ニューヨークのなんちゃのレビュー・感想・評価

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これはすごかった
立派なアメリカの時代劇、いや大河ドラマだった
レ・ミゼラブルのようでもある
19世紀、日本ではまだ江戸時代末期の頃のニューヨーク。
まだウェスタンの雰囲気が残っているが、あらゆる国からの移民を受け入れ始めたニューヨークの街角ファイブ・ポインツ。開拓時代から住んでいたのであろうアングロ・サクソン系の住人達と移住してきたアイルランド系の住人たちの抗争が物語の主軸となっている。主人公はアイルランド系住人たちのリーダーの息子。抗争中に両チームのリーダー同士の決闘により、敵チームのリーダーに父親を殺される。息子は投獄されながらも敵チームのリーダーに対して復習を誓う。
やがて出獄した主人公は元の街に戻るが、かつて自分の父親を殺した敵チームのリーダー、ビルが自分の父親に敬意を払い肖像画を飾っているのをみて動揺する。流れでビルの配下に入ることになった主人公はビルからの信頼を勝ち取ると同時にビルの一本筋を通した性格を見て少しずつ感化されていってしまう。
「ライバルの息子を育てる」的な展開でかなり期待感が高まり、どうなっていくのかかなり楽しみになるが、彼らの意志とは関係なく世の中は南北戦争のあおりで貧富の差が激しくなり、貧民達による暴動が発生し軍隊が出動する事態にまでなる。大混乱の中みんな、誰彼構わず傷つけ合い殺し合い、もはや何のために人が死んでいくのかわからない中、主人公とビルの決着があっけなくつく。
個々のユニークな人々を魅力的に描きながら、それらの運命が時代に翻弄されてあっけなく死んだり運良く生きたりする、重厚な大河ドラマだったとおもう。
敵チームに寝返ったと思ったアイルランド系の男が、実はずっと主人公を見守ってくれていたという展開とか最高だったし、ビルのカリスマ性と行動力、残忍さ、人間臭さがとてもよかった。時代背景的には、消防士同士が火事そっちのけで縄張り争いをしたりしてて、どこの国も変わらんな笑と思った。アイルランド系の移民たちが結束してる中に黒人たちも入ってるのが熱かったし、保守派(というべきか?)のアングロサクソン系の人々も生き物として魅力的に描かれていた。
最後の暴徒たちに対して軍隊が銃撃するシーンで明るい音楽を流したりするのはスコセッシっぽいのかな。イタリアンマフィアから離れたスコセッシ映画の新たな一面を見た気がする。すごい真面目な映画だった
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