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アンタッチャブルのyukacafeのレビュー・感想・評価

アンタッチャブル(1987年製作の映画)
4.2
「午前10時の映画祭」で観る機会を逃していた本作をついに鑑賞。前評判通り、映画を観る醍醐味を凝縮させた傑作だった。

何と言っても、登場人物のキャラクターがとにかく魅力的だ。財務省の役人エリオット・ネスは、正統派なケビン・コスナーのイメージそのものだし、アンディ・ガルシアは、ゴッドファーザーのアル・パチーノを思わせる存在感で、彼らが同じ志のもと、チームになっていく展開は観ているだけでわくわくした。

中でも、叩き上げの刑事マローンを演じたショーン・コネリーは、権力に媚びることなく信念を貫く老刑事の生き様を見事に体現していて、前回観た「小説家を見つけたら」に続き、すっかりファンになってしまった。物心ついた時から名優と呼ばれている人には確固たる理由があって、過去の作品に立ち返ってその理由を確かめられるのは、映画を観る上でも最高の贅沢だと思う。

禁酒法時代のシカゴを舞台にした作品は多いが、この作品の人気が高いのは、デ・パルマ監督の圧倒的な演出力も理由の一つなのだろう。ヒッチコックから多大な影響を受けたとのことだが、オペラの使い方などは「知りすぎていた男」を彷彿とさせるし、マローンの自宅やシカゴ・ユニオン駅での緊迫感溢れるカットの数々は、間違いなく映画史に残る名シーンだ。

アルマーニが衣装を手掛けたこの時代独特のファッションや、エンニオ・モリコーネの音楽も、作品の世界観に思う存分浸らせてくれる。いつかはスクリーンで鑑賞してみたい。
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