EmiDebu

アンタッチャブルのEmiDebuのレビュー・感想・評価

アンタッチャブル(1987年製作の映画)
4.0
ここまで来るとかなり脚色はしているだろうが一応事実を基に作られたものらしい。
禁酒法が施行された30年代、シカゴの財務省のネスはギャングの買収が蔓延る大海賊時代ならぬ大マフィア時代に立ち上がり巨悪アル・カポネと戦う。

先日、2期の最終回を迎えた半沢直樹。日本中が興奮したあのドラマの様に、腐った組織の中立ち上がり、正義を持って悪を成敗する。思うにこの構図こそ普遍的な面白さを生み出す秘訣なのかもしれない。

映画とはストーリーだけにしてならず、音楽や、カメラワークいろんな作り手の技術の上に成り立っているのを再確認できる作品。

なんとなく最初はコメディの一種なのだと勘違いしていたのだが思っていたよりシリアスで良い意味で期待を裏切られた。なんといっても命の重さがある。ネスの持つ正義感は法を守らせるために法を破ることこそあるが、命に対する尊厳を持っていたことに共感が持てた。敵組織だからと無闇矢鱈に敵を殺すのではなく、殺した時には後悔をするシーンが間にあったのがとても良かった。

禁酒法のあった時代の映画の多くはその馬鹿げた政策を一種の趣味の悪いジョークの様に取り扱う作品が多い中で、今作のネスは会津藩の什の掟にある「ならぬものはならぬ」と言わんばかりに法を遵守させようとする正義感を持つ男だ。集団として、作られたルールは守らなければならないという正義感を持っているが、その是非について個人的な答えを出す最後のネスの台詞、これだけで評価が0.5点は上がったね。
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