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恐怖の報酬のadeamのレビュー・感想・評価

恐怖の報酬(1953年製作の映画)
2.5
多額の報酬と引き換えに命がけの仕事に挑む男たちを描いたサスペンス映画の古典的名作。
前半の一時間は南米の貧しく仕事もない街の暮らしを見せており、よく指摘される通り冗長な前振りという印象は否めませんが、危険な仕事に名乗り出る男たちの行動に説得力を持たせることには成功しています。
後半は少しの衝撃で爆発するニトロをトラックで運ぶ過程で様々な困難が待ち受ける展開なのですが、悪路だったり落石が道を塞いでいたりと地味ながらもリアリティのある障害がサスペンスを静かに盛り上げていきます。
前半でじっくりと人間関係を描いていたので、もっと仲間割れや抜けがけ、裏切りに足の引っ張り合いなど欲に駆られた人間の醜さが見られるかと思いきやそうでもなく、その点は拍子抜けでした。
ラストシーンのカットバックはその存在自体が不穏で、作中で最もハラハラする場面になっており、あまりにも皮肉な結末をそっけなく突き付けるエンディングが素晴らしかったです。
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