冒頭からいきなりサスの柔らかいアメ車の走り、そしてこれぞ劇伴といったジャジーな音楽にひきこまれる
プロットをていねいに描くことはせず、細かなカットをパッチワークのようにつないで、前のめりに物語が進んでいく
この一見乱暴な編集が独特の雰囲気を醸し出している
70年代のクルマ、ファッション、アメリカのカルチャーがフィルム粒子とあいまって、雑味こそ旨味だとすら思えてくる
いい女風のお姉さん、傘おばさん、ラジオ局アナウンサー、配車係のおばさんの同僚のしぐさ、葉っぱでぶっ飛んでる黒人少年たち、ディーラーで商談中の客……インサートされる絵、音がなんともクール
「ブリット」と並んで語り継がれる主人公のエレノアことフォードマスタング、この作品ではイエローに黒のレーシングストライプをまとったマッハ1
このサイズならではののびのびとした流線型のライン、7000ccの咆哮は古き良きアメリカそのもの
フォードが日本から撤退してしまって、マスタングの正規輸入車は購入できないという、公開当時ではありえない時代だからこそ見たい映画
製作、監督、脚本、主演、スタント出身のHBハリッキーの熱い想いがあふれ、ある意味インディーズの頂点にしてカルトな名作
「デスプルーフ」「怒りのデスロード」ってもしこの作品がなかったら……
前に見たとき、いい感じにカントリー風の歌が流れていたような気がしていて、YouTubeにも同様の映像があるのを確認したんだけど、今回見たのはひたすらジャジーなイントゥルメンタル
これはこれでカッコいいんだけどなんだかもやもや
バージョン違うのかな……