あゆぞう

バニシングIN60”のあゆぞうのレビュー・感想・評価

バニシングIN60”(1974年製作の映画)
4.0
冒頭からいきなりサスの柔らかいアメ車の走り、そしてこれぞ劇伴といったジャジーな音楽にひきこまれる

プロットをていねいに描くことはせず、細かなカットをパッチワークのようにつないで、前のめりに物語が進んでいく

この一見乱暴な編集が独特の雰囲気を醸し出している

70年代のクルマ、ファッション、アメリカのカルチャーがフィルム粒子とあいまって、雑味こそ旨味だとすら思えてくる

いい女風のお姉さん、傘おばさん、ラジオ局アナウンサー、配車係のおばさんの同僚のしぐさ、葉っぱでぶっ飛んでる黒人少年たち、ディーラーで商談中の客……インサートされる絵、音がなんともクール

「ブリット」と並んで語り継がれる主人公のエレノアことフォードマスタング、この作品ではイエローに黒のレーシングストライプをまとったマッハ1

このサイズならではののびのびとした流線型のライン、7000ccの咆哮は古き良きアメリカそのもの

フォードが日本から撤退してしまって、マスタングの正規輸入車は購入できないという、公開当時ではありえない時代だからこそ見たい映画

製作、監督、脚本、主演、スタント出身のHBハリッキーの熱い想いがあふれ、ある意味インディーズの頂点にしてカルトな名作

「デスプルーフ」「怒りのデスロード」ってもしこの作品がなかったら……

前に見たとき、いい感じにカントリー風の歌が流れていたような気がしていて、YouTubeにも同様の映像があるのを確認したんだけど、今回見たのはひたすらジャジーなイントゥルメンタル

これはこれでカッコいいんだけどなんだかもやもや

バージョン違うのかな……
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