垂直落下式サミング

暗殺者の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

暗殺者(1995年製作の映画)
3.9
スタローンとバンデラスが共演するサスペンスアクション。裏家業から足を洗おうとするNo.1殺し屋のスタローンが、黒社会の新参者アントニオ・バンデラスにその地位を狙われるという異色作だ。
イケイケのお調子者だが正念場で焦燥感をつのらせ苛立ちからミスをおかすルーキーのバンデラスとは対照的に、危機的な状況にも女とジョークを交わしながらどっしりと構えるいぶし銀のスライという対比は、二者が対立するに至った内面的な不調和を強調している。
モノレールのドアを抉じ開け、鉄柱を渡って隣の建物に跳び移るエスケープアクション。これに説得力を持たせられるのはスタローンくらいだろう。
監督リチャード・ドナーだけあって「鳩が飛び立つ=命が潰える」「色眼鏡をかける=目の前の事柄と自分を隔て真意を隠す」など映画的な表現が堅実。
時計、腕時計、流れ出る汗、照り付ける太陽と、小物使いで時間経過を説明するのもかっこいいし、顔に落ちる影によって人物の心の距離感を示す描写も上手い。
ラテンアメリカの祭事「死者の日」は映画の盛り上げにもってこいだ。