ぶみ

バンテージ・ポイントのぶみのレビュー・感想・評価

バンテージ・ポイント(2008年製作の映画)
4.5
ピート・トラヴィス監督、デニス・クエイド、マシュー・フォックス、フォレスト・ウィテカー等の共演によるサスペンス。
スペインでの国際会議で起きたアメリカ大統領狙撃事件を、関係者それぞれの視点から描く。
久々の再鑑賞であり、実は何度となく観ている作品。
物語は、テレビ局スタッフ、シークレットサービス、地元警察官、旅行者、アメリカ大統領、犯人側と、異なる立場、異なる視点のものが、事件の数十分前から何度も巻き戻されて展開するという、考えようによっては飽きるのではないかと思わせるものだが、これが実に面白い。
それぞれの登場人物は、シークレットサービスが何を話しているかわからないし、大統領がどんな動きをしているか、知る由もない。
それに対し、観る側は徐々に事件の全貌を知ることとなるため、あの時は実はこんな会話だったのか、だとか、シークレットサービスが発見したのはこんな映像なのか、といった様々な発見があり、その結果、まるでジグソーパズルのピースが綺麗に当てはまっていくかのような快感が得られることに。
そして、終盤に至っては、リュック・ベッソン製作の『TAXi』シリーズも真っ青なカーチェイスが、逃げ惑う人々で溢れるスペインの街中で繰り広げられ、最後に全ての物語が一点に向かって集結していくカタルシスや疾走感は、何物にも変え難いもの。
無駄なシーンを排除した上で、一時間半という決して長くない尺の中に緻密に練られたサスペンスが凝縮され、観るたびに新しい発見が得られる秀作。

俺が生きてて驚いたか?
ぶみ

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