はぎはら

ファミリー・ツリーのはぎはらのレビュー・感想・評価

ファミリー・ツリー(2011年製作の映画)
3.8
「妻の不倫と死」に直面した中年の男(ジョージ・クルーニー)が、残された娘たちと家族の絆を取り戻す物語です。

弁護士として顧客から信頼を得て、ハワイの名家を継いでいる主人公の男は、美しい妻と2人の娘を持ち順風満帆の人生を送っています。ところが、水上スキーの事故で妻が意識不明の重体に陥り、突然、男の人生は暗転します。

弁護士の仕事に追われ家庭を顧みなかった男は、妻が昏睡状態に陥り家庭に引き戻されますが、娘たちにどう接して良いのか分かりません。10歳の次女は学校で次々と問題を起こし、別の島で寮生活を送る高校生の長女は父親を遠ざけます。

主演のジョージ・クルーニーは、いつものクールな二枚目ぶりとうって変わって、直面する現実に振り回され、戸惑い、悩み、あたふたと駆けずり回ります。

生きることは厄介です。
親愛なる家族がいても、それぞれに人生の悩みを抱えながら、それを心の中に仕舞い込んでひとつ屋根の下で暮らしています。

この映画もそうですが、家族は心の痛みを率直に語り合うことで再生していきます。重いテーマを扱っているのですが、父親と娘との会話にユーモアの味が効いていて、後味の良い作品に仕上がっています。

映画の途中、長女を呼び戻しに行く主人公のモノローグがこの映画の主題を物語っています。
「家族は群島と同じだ。全体で一つだが個々は独立し、少しずつ離れていく」。
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