アカデミー賞授賞式当日、前日に本作を観たばかりだったので、制作チームのみんなが遠い親戚のような気持ちでワクワクしながら観ていたら、なんと7部門も受賞!みんな身構えることなく素直に喜びを爆発させていて、>>続きを読む
『エンパイア・オブ・ライト』(サム・メンデス監督)で描かれる光は、慎ましいが、心の奥まで届く。
冒頭、海辺の町の映画館で働く女性ヒラリー(オリビア・コールマン)が、映画館の扉を開け、ロビーや劇場の灯>>続きを読む
ハリウッドスターはいっとき強い光を放ちながら、やがて流れ星のように去っていきます。
『バビロン』(デイミアン・チャゼル監督)は、1920年代のハリウッド映画の制作現場を舞台に星々の煌めきがどのように>>続きを読む
有村架純をずっと観ていたなあ。
海辺の「のこのこ弁当」でお弁当を売っているちひろさんを演じているんだけど、やっぱり有村架純のちひろさんに違いないと思いながら観ていた。
有村さんは「永遠にちひろさんの背>>続きを読む
ホン・サンス監督の『あなたの顔の前に』の主人公は、前作の『逃げた女』と同じように、懐かしい人を訪ね、たわいもないおしゃべりを繰り返します。時間の流れを壊さないフレームワークで、そこに流れる時間の存在に>>続きを読む
『人生はビギナーズ』『20センチュリーウーマン』を観て、大好きになったマイク・ミルズ監督。『カモン・カモン』も期待以上でした。
ラジオジャーナリストの男(ホアキン・フェニックス)は妹の9歳の息子を預>>続きを読む
ひとりの女性を幸福にするのは容易ではない。
映画の後半、主人公の女性はかたわらの夫に柔らかな表情で自分は幸福だと語りかける。
この映画は、息を潜めて隠れるようにして生きてきたひとりの女性に幸福をもた>>続きを読む
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冒頭、鈍色の海と切り立った断崖、それに続く丘陵が俯瞰映像で映し出される。
イニシェリン島の主人公は荒涼たる自然だと気づかされる。この島にあって、人間は自然に間借りするるちっぽけな存在に見える。
この>>続きを読む
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水を湛えた井戸のような静けさに満ちています。実話に着想を得たこの映画の主人公は生まれつきの感音性難聴で両耳が聞こえません。聴覚障害者のプロボクサー、ケイコを演じるのは岸井ゆきのです。この映画には「ロッ>>続きを読む
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この映画は、困難な人生を受け入れることについての物語です。
誰もが過去に囚われて生きています。歳を重ねるほどに、過去が現在を侵食していきます。
愛する妻を失った男、家福悠介(西島秀俊)と、母親から>>続きを読む
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イジメはどんな社会にも存在するのだろう。
しかし、この映画を観て、過酷とも言える中国の学歴社会はイジメの温床になるだろうと感じた。
能力のある者を選抜し、重要なポストにつかせて漢民族国家を繁栄に導く>>続きを読む
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石井裕也監督作品の登場人物がとても愛おしく思えてきます。「茜色に焼ける」に続き、もがきながら突っ張って生きる人々の姿に心打たれます。
本作は韓国が舞台です。石井裕也監督がなぜ韓国を舞台に映画を撮ろう>>続きを読む
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前半と後半のコントラストが鮮やか!コメディとファンタジーが表裏一体となった唯一無二の恋愛映画に仕上がっています。
コメディの前半は、主人公の郵便局員ヤン・シャオチーを演じるリー・ペイユーの魅力で引っ>>続きを読む
ずっと気になっていたものの、見過ごしてきたホン・サンス監督の作品を今回初めて劇場で観ました。
主人公のガミ(キム・ミニ)と3人の女性の間で交わされるとりとめのない会話に聴き入っているうちに、4人の女>>続きを読む
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名前だけは知っていたものの、これまで意識したことがなかった映画作家、ロベール・ブレッソンの作品を初めて観ました。
フォローさせていただいている方のレビューに触発されて「田舎司祭の日記」を観たのですが、>>続きを読む
2019年に大評判となったデイヴィット・バーンと11人のミュージシャンによるブロードウェイショーのドキュメンタリー映画です。
舞台となったハドソン劇場は1903年創業の老舗のブロードウエイシアターだ>>続きを読む
石井裕也監督は信念の人です。
昨年5月に、この映画を撮らないといけないと思い定め、2ヶ月で脚本を書き上げ、コロナ禍の中で多くの困難を乗り越えて撮り上げた作品です。
商業作品デビュー作の「川の底からこ>>続きを読む
今泉力哉監督の作品、やっぱりとても好きだ。
舞台は下北沢。主人公の男性と4人の女性たちの間で進行する密やかな恋愛を描いています。こじらせた恋を抱えた男女が自由映画の制作をきっかけに関わりを持つように>>続きを読む
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昨年の個人的邦画ベスト。河瀬直美監督の「朝が来る」は、「はちどり」のウニの分身のようなごく普通の女子中学生ひかりの身に起こった苛烈な体験を描いています。
ひかりは同じ中学の男子生徒と惹かれあい、一緒>>続きを読む
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殺人を犯し10数年の服役を終えた中年の男のその後を描いています。
男は2度と刑務所には戻らないと決意し、ささやかな日常を営もうとしますが、社会はそれを簡単には許容しません。私たちが暮らす社会は、本当に>>続きを読む
冒頭、社会を覆う閉塞感が色濃く映し出されますが、映画の主題が徐々に浮かび上がってきます。どんな境遇でも、人は人生を選択できます。この映画は車で暮らし放浪するノマドという生き方を選んだ人々を描いています>>続きを読む
「ミナリ」は韓国系アメリカ人のリー・アイザック・チョン監督の自伝的作品。米国南部のアーカンソー州の開拓地に移住した韓国人家族の物語。
農業で成功を夢見る夫は、カリフォルニアから森に囲まれた辺境の地に>>続きを読む
「二重のまち 交代地のうたを編む」は、物語とドキュメンタリーが響き合う独特の形式を持つ映画だ。
東日本大震災の被災地岩手県陸前高田市に移り住んで創作活動を続けている小森はるかと瀬尾夏美が企画・制作した>>続きを読む
「春江水暖」(グー・シャオガン監督)良かったなあ。
みんな、やっかいなことを抱えてきりきり生きてるんだけど、それを受け入れているように見えます。水は肌を刺すほどに冷たいけど、水はゆったりと流れていき>>続きを読む
映画を観てからだいぶ経ったけど、「花束みたいな恋をした」の花束のことをずっと考えている。
花束は贈る人と、受け取る人の間にある。
花束は誰のものでもない。
花束は少しずつ褪せていく。
花束は悲しみが>>続きを読む
フェデリコ・フェリーニ生誕100周年記念映画祭で「フェリーニのアマルコルド」を久しぶりに観てきました。
フェリーニは「生きる歓び」を記憶するために、この映画を撮ったのではないか、という思いを強くしま>>続きを読む
キム・ボラ監督の「はちどり」を観ました。本作が長編第1作作品です。
台湾のエドワード・ヤン監督の「クーリンチェ少年殺人事件」を思い出しました。
両作とも思春期の少年少女が理不尽な世界に翻弄されながら>>続きを読む
「ストーリー・オブ・マイライフ 私の若草物語」を観ました。3ヶ月半ぶりの映画です。
冒頭、小説家志望の主人公ジョー・マーチが出版社に持ち込んだ原稿が採用され、ひとり暮らしを始めたNYの街を人の波を縫>>続きを読む
久々の投稿です。
「帰れない二人」を観ました。中国のジャ・シャンクー監督作品です。この監督の映画を観ると、とりとめなく書きたくなります。
中国の裏社会で地位を築こうとするヤクザの男と、男を愛した女の>>続きを読む
ハリウッド映画を見続けていると、饒舌な語り口に飽きて抑制の効いた映画が観たくなる。
そんな訳で、ヨーロッパやアジアの映画も割とよく観ることになる。最近観た映画ではアイスランド映画『たちあがる女』と旧>>続きを読む
アルフォンソ・キュアロン監督作品。前作の「ゼロ・グラビティ」に圧倒されて、過去の作品もDVDで観るうちに大好きな監督になりました。
本作もずっと楽しみにしていました。
映画を観る楽しみは、今までに観た>>続きを読む
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「ファースト・マン」を観ました。
1969年、人類で初めて月に降り立った米国の宇宙飛行士、ニール・アームストロングが主人公です。
「ひとりの人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ」。>>続きを読む
遅ればせながら、レビューあげます。
ラスト20分のライブ・エイドシーンによって、「ボヘミアン・ラプソディ」は特権的な音楽映画として語り継がれるだろう。
これから先、新しい音楽映画を撮る映画監督は誰>>続きを読む
主題は「NO MUSIC,NO LIFE」。
音楽がなければ生きていけない一組の男女の物語です。主演のレディ・ガガとブラッドリー・クーパーの演技が何よりも素晴らしい。スクリーンの中にいるのはまぎれもな>>続きを読む
「きみの鳥はうたえる」はいつまでも見つめていたい映画だ。
佐知子(石橋静河)と静雄(染谷将太)と僕(柄本佑)。3人はいつか終わってしまうと予感しながら、心地よい時間に体を丸ごと浸すように朝まで一緒に>>続きを読む
松田龍平を観にいったのですが、脇役に圧倒されました。小学校担任の松たか子、将棋道場のイッセー尾形、アマ棋士の小林薫、父親の國村隼。それに棋士のライバルたち。
この映画は、好きな将棋に打ち込みながら、勝>>続きを読む