ベトナム帰還兵を出征前からPTSD、そして立ち直って反戦運動に身を投じるまでを描く。
ベトナムでの戦争描写は徹底しており、それなりのトラウマをロンの人生に与えることは納得できる状態だし、負傷後の海兵隊病院での処遇や状況は戦地で命を張ってきた経験からすると裏切られる思いになるのは間違いないだろう。
そこからの立ち直りは、冒頭からも示唆されるようにいわば生まれ変わりの物語であり、どこかキリスト的な神性を伴っている。
だからこそ、立ち直りの手法が重要なのだが、それはあまりにも身勝手ともとれる告白での赦しであり、あるいは自叙伝執筆により他者からの承認であるにすぎず、それでいいのか、という点もある。また、ミッドナイトエクスプレスの前科を考えると、どこまで自叙伝の内容で、どこまでが監督・脚本でベトナム戦争に従軍しているオリヴァー・ストーンが赦しを得るための物語なのか、疑問符が残る。