似太郎

ふたりの人魚の似太郎のレビュー・感想・評価

ふたりの人魚(2000年製作の映画)
4.7
不条理系ラブロマンスという意味で、大島渚✖️瀬々敬久✖️ベルナルド・ベルトルッチといった映画的記憶に彩られたロウ・イエ監督による意欲作。

主人公の映像作家=(私)と知り合った女性が突如消失し、後半で別人となって現れる…。このデジャヴ感。🤔❓

人間の持つ記憶の曖昧さと、存在(対象物)の不透明さを描破したファンタジックな恋物語。私はあなたになれないし、あなたも私になれない、といった問題提起を大胆にやっている。

露骨なSEXシーンこそ無いが、幻惑的なエロティシズムを感じさせる主演女優の妖艶な佇まいが素晴らしく、映画に品格を与えている。全編ゲリラ撮影によるリリカルな映像が、仏のヌーヴェルヴァーグなどを想起させる。

また自主映画監督が主人公の映画としては大島渚の『東京戦争戦後秘話』やヴィム・ヴェンダース✖️ロバート・クレイマーの『ことの次第』など多くあるのだが、本作もそんな偏ったインディーズ映画的な趣向が随所にあるロマンチック(或いは観念的)な作品だった。

ハリウッド映画によくある大味でご都合主義な展開に飽きてる人が観たら堪らない、ある種のスノッブ感もある。とにかくヒロインを演じた女優さんが可憐でアジア圏の女性はいいな〜、なんて妄想が膨らむ罪な作品。(笑)
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