ふりかけ

アニー・ホールのふりかけのレビュー・感想・評価

アニー・ホール(1977年製作の映画)
4.5
2024 114本目 5/1

あまりにも、あまりにも自分のことのようで、見ていて辛かった。

いつか自分も愛に救われたい、と同時に、アルビーにも救われてほしいと思って見ていた。
愛に飢え、死を拒み、時にそれは表裏一体で、あなたへの恋という病はあなたへの恋でしか癒せないのに、愛を感じていてもやはり死はいつも隣にいて、どうしようもなく不器用で可愛い自分を弁護するように、自分を庇護させるように、衒学的で凶暴な見せかけの言語の渦を二人の間にかき混ぜてはそれを二人の問題のようにして、およそ自分の作った禍いであろうと、それを恋のせいにしながら死を横目で伺って生きる。
自分勝手で退屈、だけどそれでも僕らには愛があって、分かり合えて、その退屈は変わってる二人にとっては享楽で幸せでそれゆえに愛なのだと、そう思っていれば愛は続くのだと錯覚したのだ。
男は惨めで哀しい生き物と、立ち尽くして今に思うのだ。愛はなくとも、恋人はいなくとも、幸せな日々を今でも思い出して、何かにつけてそのことを繰り返しトレースしてやっと、自分の言葉として歩き始める…
美しい別れの言葉として歩き始める…
ふりかけ

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