ふりかけ

ザ・クリエイター/創造者のふりかけのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

2024 126本目 5/12

画はめちゃくちゃ綺麗で、近未来的な街並みもリアルに再現されてて、やっぱり20年代に入ってからのSFは実際に描かれてきた近未来に接近してきてより解像度が上がってて素晴らしいなと感じる。
肝心のストーリーラインは人間vsAIの両者の対立に巻き込まれる主人公が愛の真実を追求する、古典的でありがちなもの。人間サイドの兵器も、人間大の自立型二足歩行ロボットが腕を振って走り、愛玩系のデザインなのに自爆用兵器でかつ、その威力も大したことなくて、ロボットに対する人間の非情さ冷酷さの表現を誇張するだけの陳腐な演出、それに伴ってAI陣営の優しさも嫌な強調になっていて、映像が良いだけに設定、脚色面でかなり足を引っ張っていた印象。
そもそもSFは世界観や設定の説明に気を配りすぎる。それでいて、約2時間の密度の中でドラマを持って物語るという高度な構成力が要求されている。よりディープな精神世界や未来の倫理、新しい価値観、それがすでに浸透している未来の様子を創出するとなると、上手くこなすなら映画として簡潔なテーマを絞ったり、ビッグバジェットを注ぎ込んだ長編の大作にするなど、制約やリスクを伴う制作になってしまう。今作に限らず、多くのSF映画の物足りなさは、やはりそういった、描かれるものがありきたりな未来世界のドラマになってしまっている部分だと思う。何番煎じのロボットSFでは、目新しいガジェットや高再現度の未来都市ぐらいにしか新鮮さを感じられない。今後はSFが描く未来の人間の精神の深淵がもっと描かれる作品が出てくるのを願う。
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