あんじょーら

アニー・ホールのあんじょーらのレビュー・感想・評価

アニー・ホール(1977年製作の映画)
2.5
ウディ・アレン監督作品ってよく考えると私は「マッチポイント」しか、見てないんですが、多分相性悪いんでしょうけれど、なんとなくヒマだった年末年始に見ました。去年見た「(500)日のサマー」の系列で言えば私の世代は間違いなく「恋人たちの予感」ロブ・ライナー監督(ああ!ビリー・クリスタルにメグ・ライアン!劇場で見たのがまた良かった!それにハリー・コニックJr!)なわけで、そのもう一つ前のこの系譜映画がこの「アニー・ホール」なんだということで見たくなりました。


コメディアンのアルビー(ウディ・アレン)は非常に暗い性格でキライなものも多いのですが、それは「育ち」のせい。ふとしたことで出会ったエキセントリックでコケティッシュで明るい性格の女性アニー・ホール(ダイアン・キートン)と出会い、惹かれていきますが・・・というのが冒頭です。



ネタバレあります!未見の方はご注意くださいませ。
















その当時からすると斬新なカットや演出も多いのでしょう、カメラに向かって主役が語りかける、というスタイルはかなり主観をずらす意味で面白いと思うのですが、それ以上にウディ・アレンという色が強すぎて、どうしてもキャラクターから匂い立つ影響がアクとして感じられました。もちろんウディ・アレンが好きな方にはそここそがたまらないのかも知れませんが。そしてそれは受け手である私との相性の問題ですよね。


しかし、どうしてもウディ・アレン演じるアルビーがカメラに向かって話しかけ、過去の幼い自分と同一画面に存在し、アニメーションに混じっていても、リアルな現実のウディ・アレン氏の『いいわけ』に感じられてしまいます。そうすると、面白がれる些細なことが、面白く感じられなくなっていってしまうように思いました。脚本が面白くとも、わざわざ主演を自分で演じなくともいいんじゃないか?と。だから、本当にこの当時はダイアン・キートンが好きだったのね、とか、いちいち本当に根暗なんだけど「やる」ことは「やる」のね、とか、育ちのせいにし過ぎなんじゃない?とか、心も身体も欲しいのはみんな同じ(だけど無理だし、それは舞い上がってるだけだから)、とか、雑念が消えませんし作品に没頭できませんでした。


きっと男と女のリアリティの差をコメディタッチで、しかも割合セックスにまで突っ込んだ表現が(当時として)面白味として感じられるのでしょうし、脳内理想を芸術に昇華させたのでしょうけれど、それが『ウディ・アレンの』という1点で残念ながら私には届かなかったです。コカインのシーンは笑えたけど。


「悟り」と「諦め」ならわざわざウディ・アレンに教えて貰いたくないですし。しかし古今東西のイタイ男はほとんど同じなんですね。現実把握能力が低く、妄想力が高いし、無理めな願いに拘泥しすぎ・・・モテキでいう親友島田の「お前には手に負えないということを学習してくれ!」ですね。しかし叶わないからこそのロマンティシズムでもあるのですが。


ただ、確かにダイアン・キートンは素晴らしかったですし、ポール・サイモンが出てるなんて全く知らなかったので凄く驚きました。いや~な感じが上手い、ポール・サイモン!そしてクリストファー・ウォーケンが出てきたのはホントにびっくりしました。


ダイアン・キートンが、ウディ・アレンが好きな方にオススメ致します。