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ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのmitakosamaのレビュー・感想・評価

3.9
公開当時、渋谷に見に行ったなー。確か今は無きシネマライズ。

アメリカによる政策で世界的に孤立していたキューバのミュージシャンを紹介するという内容のドキュメンタリー。
アムステルダムのコンサートと、キューバでの各ミュージシャンのインタビューが交互に入れ替わる構成。ラストはアメリカのカーネギーホールでのライブが見られる。

世界的に無名だった老ミュージシャンたちのなんと魅力に溢れたことよ…。
だが、やはりキューバという世界に取り残された、時間が止まったかのような特殊な環境が彼らを唯一無二な音楽家にしたのだろう。
劇中で見られるキューバの風景は、公開当時の90年代にはとても見えない。まるで60年代のようだ。(もちろんコントラストの強いハイキーな画質でレトロ感を演出した映像ではあるのだが)
それでも自動車や建築物やファッションはまるでタイムスリップしたかのよう。

各自のインタビューでも語られているが、キューバでの暮らしは決して楽では無かったことが窺える。生きるために貧困と戦い続けなければならなかった彼らには、生きる活力としての音楽が必要不可欠だったのだろう。
だからこそ、彼らの音楽には明るさの中に人生の悲哀を感じさせる。老人達の皺の数だけ音楽の年輪が積み重なってるのだ。ラテン系の音楽の神髄がここにある。
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