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ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのcinemaiquotのレビュー・感想・評価

4.0
これは「忘れられた人」たちの映画だ。音楽はそれに添えられたエピソードである。
生い立ちや人となりを、私生児であり、孤児であったところから、その来し方を掘り起こしつつ「人」を描こうとしている。単純に低いところから高いところへ、と、よくあるような「成功物語」ではなく。
だからイブラヒムやルーベンの表情がものすごく語ってくる。
たまたまライ・クーダーを介して出会ったのが音楽家たちであって、私たちは彼らのように特に何か秀でたものを持たなくとも、彼らのように奥深くから輝いているはずだ。名もなき存在であるにしても。
ニューヨークの土産物屋のショーウィンドウに並ぶ有名人のフィギュアを眺めながら、彼らが「あれはだれだったっけ」と語るシーンはアイロニカルだがじわじわとくる。
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