MasahideYoshida

いまを生きるのMasahideYoshidaのレビュー・感想・評価

いまを生きる(1989年製作の映画)
4.3
1990年公開
監督 : ピーター・ウィアー
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厳格な寄宿学校で新任の国語教師が、生徒たちに詩と生きることについて教えるお話し。

なんの授業だったか思い出せないけど、中高の授業で見た映画で、当時はいいも悪いもなく、結末にショックを受けて、以来ずっと忘れられない映画ではあったけど、改めて見たら凄まじく良かった。それと同時に当時は理解できなかっただろうなあとか、人生の教訓や生きる指標とは、本当に得るべき時に自分側のコンディションが未熟ゆえに、受け取れないことばかりなのかもなあと、今更思う。自分を生きるとはなんたるか。なんで自分を殺さないといけなかったのか。やりたいことに答えられなかった主人公の絶望と底なしの鬱屈が痛いほど共感できる。大人は既得権益や体制が揺らぐのを恐れ、御し難い他者の挙動をもっともらしい理由で鎮圧しにかかるけど、何人たりともその人の「詩」を侵害することはできない。だから詩を読み詩を愛し歌おうという、キーティング先生は大きい。

なんで死んじゃったんだよロビン・ウィリアムスって改めて思ってしまうけど。きっといろんなものが見えて、引き受けられてしまう人だったのかもしれない。多感でみずみずしくてそれでいて優しい、主人公のような人からいなくなっていく社会はおかしいだろと、今の時代に通じるやるせなさを感じる一方で、自分は机の上に立ち上がれるだろうかと、考えちゃう。