Aidaho

いまを生きるのAidahoのレビュー・感想・評価

いまを生きる(1989年製作の映画)
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情操教育の難しさを考えることになった。
まだ柔く可能性に満ちた時期に、再現性のある幸福を得る方法を綿密に学ぶことは現代において急務であるように感じる。実際自身がその道を辿り恩恵を受けているからこそ、その重要性を如実に理解しているように思える。しかし本邦において1番若者を殺すのは、この方法を遂行する上で障害となり排除される感情であることは、人口動態調査の結果明らかである。人にとって幸福感や豊かさの源は物の量だけでなく、湧き立つ感情に起因する側面も多い。そのために、富や名声を得るために努力するのことと同等に自分の軸を確立するために自己を見つめることは若者の成長過程において必要不可欠である。だが、不安定な自我をもち多感である若者に対して先導者が介入するというのは良くも悪くも影響することは理解に難しくない。実際、映画中において抑圧された若者に対して自分の意思を貫けと励ましたことで彼の今後の可能性が途絶えてしまっていた。人間を形成する情緒は主観的であるために、他者に伝える時には相手の価値観を圧倒しないようにする配慮や自己と他者の壁など障壁が多い。これこそが、情操教育の難しさである。そう考えると、本編中盤と最後のシーンにおいて行われていた視野の拡大、それこそが、主観的である感情をさまざまな視点で捉えコントロールし、自他の可能性を広げる橋となる唯一無二の方法ではないかと考える。
駄文にお付き合いいただきありがとう。見終わった後でだいぶ陶酔している恥ずかしい。まあこんな日もある。私よ頑張れ


なんだがキーティング先生はいい教師じゃない!みたいな言い方になってしまってるが全然そんなことはなく、悩める子羊達を一見荒療治ともとれる方法で導き、最後には生徒の視野を広げる踏み台にされたにもかかわらず、教師冥利だと言わんばかりの表情で心からの言葉を紡ぐあたり素晴らしい教師であり、年長者であったと思う。私も人生で一度は出会ってみたいものだなあ
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